介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

介護施設で高齢者採用によりスタッフを増員することは労災リスクを高めることに?

2021.02.19
分類:リスク

介護施設では人材不足の状況が続いていますが、若い世代に人気がないため高齢者採用などに目を向ける施設なども少なくありません。

実際、訪問ヘルパーの平均年齢は55.5歳であるなど、数年や数十年経てば介護業界は崩壊する危機にさらされているといえます。

50歳以上が介護業界全体の7割、中でも60歳以上が約4割に上るほど高齢化が進んでいますが、それでも高齢者採用に目を向けなければならないほど若い人材の獲得に苦労している状態です。

介護現場でも老老介護の状態?

特に登録ヘルパーの高齢化が深刻化している状況で、日本で懸念されている老老介護が介護サービスを提供する現場でも起きているといえます。

政府もその状態を放置しているわけではなく、介護施設の人材不足を解消するため、在宅介護や医療を重視する方針を取っています。

しかし在宅介護の高齢者が利用する訪問介護などを担う若手スタッフも不足しているため、業界全体で問題解決の対策を講じなければならないときが訪れているといえるでしょう。

 

国も黙ってみているわけではない

介護士養成校に入学する方の人数もだんだんと少なくなっているほど、若者の介護職離れは深刻化している状況です。

その背景には、介護施設などで働くと身体的な負担が重く、給料もその重労働に見合うほど支払われないといったネガティブなイメージが先行しているからといえます。

ただ、国も介護職員処遇改善加算の拡充など、介護職の賃金を上昇させる取り組みに乗り出していますので、今後さらに改善されていけばこの限りではないとも考えられます。

 

介護現場で労災事故に遭う年齢は50代以上が多い

若者の介護業界離れが深刻化していき、今介護現場を支えているスタッフもさらに高齢化するという状態です。

介護現場の業務は重労働なことが多く、中高年のスタッフがこのまま現場を支え続けることになれば、身体的に耐えられず体を壊す人も出てくる可能性も考えられます。

介護施設の現場で発生する労働災害が懸念されるところですが、実際に社会福祉施設で働くスタッフのうち、労働災害に遭った数は50歳以上が全体の6割近くを占めているというデータもあるほどです。

介護現場では利用者を支えたり移動させたりというケアが必要となりますが、転倒などの労災事故が起きてしまう割合も50代以上が多いといえます。

若い世代の人材獲得の対策が必要

訪問介護で入浴介助中に転倒してしまうこともあれば、洗濯物を干すときにバランスを崩し脚立から落ちてしまったという事例もあります。

今の介護現場では、介護職員の身体的な負担にも限界がきている状態のため、さらに高齢者採用で年齢の高いスタッフが増えてしまうよりは、若い世代を獲得できるよう対策を練ったほうがよいといえるでしょう。