介護現場は、転倒・転落・誤嚥といった事故が起きやすい環境にあるといえますが、介護事業者でも事故防止に向けた安全対策を検討しているようですが、施設により取り組みの程度には差が見られます。
ヒヤリハットの分析や事故防止に向けた会議などを定期的に行い、安全対策を十分に行っている介護事業者も、ICT普及が進む現場の環境に対応できる取り組みが必要です。
厚生労働省でも2021年4月の介護報酬改定により、施設系サービスでは安全対策担当者を選任することを義務化しています。
そこで、義務化された安全対策担当者とは何をすればよいのかご説明します。
2021年4月からは、すべての施設系サービスで安全対策を担当する職員を選定しなければならなくなっています。
経過措置期間6か月を経て、すでに対応は完了していることが求められますが、安全対策担当者は事故を防ぐ安全対策を専任で担当することになります。
専任でも他の業務と兼務できないわけではありませんが、他の業務に時間を取られ安全対策業務ができない環境では認められませんので注意してください。
安全対策担当者はPDCAサイクルにより安全対策を実施していきます。
PDCAサイクルとは、
①Plan(計画)
②Do(実行)
③Check(評価)
④Act(改善)
を繰り返すことです。
介護現場で行うPDCAサイクルとは具体的に、
①委員会の定期的な開催により事故やヒヤリハット事例を収集・把握し、分析により再発防止策に関して検討する
②スタッフに周知徹底する
③指針・マニュアルを作成し、実行による効果から見直しを行う
④事故防止のため介護職員に対する研修を行う
などの内容となるでしょう。
PDCAサイクルが滞ることのないように、エンジン的な役割をするのが安全対策担当者です。
安全対策担当者には特に選定基準など設けられておらず、保有しておかなければならない資格なども特にありません。
ただ、知識や経験などが豊富な介護福祉士などが選ばれることが望ましいといえるでしょう。
なお、安全対策担当者は必ず外部の研修を受けることが必要とされています。
誤解してはいけないのは、安全対策担当者を決めればそれで終わりではないということです。
介護現場から事故リスクを低減させることが目的であり、施設の経営者や介護職員など、働くすべての方が当事者意識を持って取り組むことが必要といえます。
安全対策担当者に丸投げするのではなく、施設を安全で安心できる環境にするために、スタッフ全員が安全意識を高めて介護サービスを提供するようにしましょう。