交通事故でケガを負ったとき、その傷が脳や神経など体の重要な器官に及んでしまうと、身体損害が生涯に渡り残ることとなり、介護が必要になることもあります。
もしも交通事故などをきっかけとして要介護状態になった場合には、治療費だけでなく介護にかかる費用の負担が重くなる場合もあるでしょう。
ただ、交通事故により生じた身体損害分を、将来必要となる介護費用として加害者に請求できる場合があります。
そこで、どのような場合であれば介護費用の損害賠償請求を認めてもらうことができるのか解説します。
交通事故によって発生したケガなどが致命傷となり、介護を必要とする状態になってしまうケースとは、主に次の2つです。
神経系統の機能障害とは、神経が損傷し機能しなくなることで、寝たきり状態や半身不随といった深刻な状態になることです。
精神の障害とは、交通事故による衝撃によってショックを受け、精神が崩壊したり認知能力が低下したりなど、身の回りの出来事を認識できなくなる状態を指しています。
神経系統の機能障害や精神の障害の程度が著しいときには、後遺障害等級別表Iの第1級または第2級の認定対象となり、要介護状態になります。
第1級とは常に介護を要するときで、第2級は随時介護を要するときに認定されます。
後遺障害等級別表Iの第1級または第2級の認定対象となる要介護状態ではなくても、定期的に介護を必要とする状態になることもあります。
その例として挙げられるのが「高次脳機能障害」で、外傷や脳血管障害によって脳が損傷を受けたことにより、記憶・注意・行動・言語・感情などに障害が起きてしまうことです。
障害が軽度なら日常生活をこれまで通り送ることができたとしても、重症になると常時または随時介護が必要になると考えられます。
交通事故により後遺障害等級認定で要介護認定を受けることになれば、慰謝料と介護費用のどちらも損害賠償請求することも可能となるでしょう。
その場合、後遺障害の中でも高額な慰謝料を加害者に対し請求することが可能となりますが、おおよそ3千万円から4千万円程度が相場となります。
労働能力を喪失したことに伴う逸失利益も請求可能となれば、実際の損害賠償よりもさらに高い慰謝料を請求できます。
さらに後遺障害等級認定で要介護認定を受けていれば、介護費用の損害賠償も請求できるようになります。