介護保険制度は、介護を必要とする方が介護サービスを利用するとき、その費用の一部を負担してもらえる制度だと思ってしまいがちです。
確かにそうですが、本来の介護保険制度の理念は、介護を必要とする方に残された能力や機能を維持・改善させ、自立して充実した生活を営むことができるような支援をすることとされています。
介護を必要とする方がどのタイミングでどの介護サービスを利用することが適切か、総合的に判断して作成することになるケアプランについても、介護保険制度の理念に沿うものでなければならないということです。
介護サービスを利用する方、そしてその家族が充実した生活を送ることができるよう、長期的または短期的な目標を設定した上で行う介護計画がケアプランです。
ケアマネジャーと呼ばれる介護支援専門員が作成しますが、介護サービスを利用する方の心身の状況などの変化に応じて作成します。
介護保険料を支払えばどのサービスでも利用できるわけではなく、介護を必要とする方の心身状態などに合ったサービスの利用が可能となり、利用することで自立や充実した生活に繋がらなければ意味がありません。
介護を必要とする状態になっても、利用者本人が自分の希望する生活を送ることができるように、適切な内容のケアプランを作成することが大切です。
介護を必要とする状態になっても、自分のことは自分で行うようにしたい、自分が出掛けたいときに外出できるようになりたいという思いがあるのなら、その方にどのような介護サービスが必要なのかを決めるケアプランの方向性も見えてくることとなるでしょう。
本人が望む生活を実現させることが尊厳を守ることで、介護保険制度が目指すところなのです。
もし介護サービスを利用したいという方があらわれたとき、まずは介護サービスを利用して何をしたいのか前向きに考えてもらいましょう。
これから自分がどのような生活を送り、どのような自分であり続けたいのかを一度思い浮かべてもらいます。もちろん、介護が必要な状態になったのに、簡単にその答えを出すことは難しいでしょう。
ただ、難しく考えず、本人の意思を尊重し、実現させるために支援することが介護保険制度の目的なので、数多くある介護サービスのどれを選ぶかによって実現可能となるか大きく変わってきます。