親の介護が必要になったとき、子は自分が面倒をみなければならないのか、義務なのだろうかと疑問に感じることもあるようです。
確かに法的に見れば親の介護は子に義務付けられていますが、家庭の事情などで介護できないというケースもあります。
親の介護は義務であって強制ではなく、さらに介護するときにも負担を軽減することは可能です。
そこで、親の介護について子はどのように考えるべきなのか、誰に面倒を見る義務があるのか説明します。
互いに扶養・扶助する義務のある相手とは、
・直系血族
・兄弟姉妹
・配偶者
です。
この中で、親の介護は子が義務を負うケースがほとんどですが、ここでの義務とは金銭的な支援を指しています。
身体的な介護を義務化しているのではなく、扶養や扶助など生活を助け合う義務であり、お金の部分で支援をすることが必要と解釈できます。
衣食住の負担や医療費、介護費など、生きるために必要な最低限の金銭を支援する義務があると理解するとよいでしょう。
「義務」は「強制」ではないため、自身の生活に余裕があるときに発生することになります。
もし配偶者や子との生活で精一杯というときに、自らの生活を犠牲にしてまで親の面倒を見なければならないというわけではありません。
余裕がある生活か判断する方法は、たとえば社会的地位に対する生活の送り方や、保有する資産などで家庭裁判所が相対的に判断することになります。
健康で文化的な最低限度の生活に必要とされている「生活保護基準額」よりも低い生活費で暮らしているときは余裕のない生活と判断されることになるでしょう。
親の介護をすることになったとき、子1人が介護問題を抱えるのではなく、次のような負担軽減の方法を検討してみましょう。
兄弟姉妹がいるときには、親を介護する義務は平等にあるため、それぞれ役割分担し介護を担当しましょう。
たとえば身体的な介護はできないけれど、金銭的な支援はできるという場合、それも踏まえた役割分担を考えることが必要です。
親の介護をすることになった子に配偶者がいるときには、介護を手伝ってもらえないか相談してみましょう。
ただし配偶者には介護義務は発生しないため、あくまでも協力をしてもらう形になることを理解し、親が他界したときには遺産を「特別寄与料」として介護に携わった分だけ配偶者に渡すといった方法も取ることができます。