介護保険施設などを利用したとき、発生する食費や居住費は、原則として全額自己負担となります。
そのため、これらの費用の負担が大きいと感じてしまうこともあるようですが、所得や貯蓄の金額が一定額以下であれば、自己負担限度額を減額させることが可能です。
介護の必要が出てきたとき、介護保険施設やショートステイなどを利用する方は増えます。ただ、施設を利用する際に提供される食事にかかる費用や、滞在する費用である居住費は、原則として利用者が全額自己負担することになっています。
所得が低い方にとっては、これらの費用負担が苦しいと感じてしまうこともあるでしょうが、所得や預貯金額が一定以下であれば、市町村から介護保険負担限度額認定証を交付してもらうことによって、食費や居住費の自己負担限度額が減額される補足給付を受けることができます。
・第1段階(老齢福祉年金受給者で世帯全員が住民税非課税もしくは生活保護受給者の場合)の負担限度額…居住費・滞在費0~820円、食費300円
・第2段階(世帯全体が非課税者で合計所得金額と課税年金額、非課税年金収入額の合計が80万円以下の場合)の負担限度額…居住費・滞在費370~820円、食費390円
・第3段階(世帯全員が非課税者で第2段階に該当しない受給額の場合)の負担限度額…居住費・滞在費370~1,310円、食費650円
補足給付とは、所得に応じて設定された負担限度額を超えた費用は、介護報酬で補足されるという制度です。これにより、利用者が負担する食費や居住費の負担限度額が減額される仕組みとなっています。
補足給付の制度を利用するためには、利用者の世帯や配偶者が市町村民税非課税であること、そして保有する預貯金額が基準額以下であることが必要です。
また、ふたり以上の世帯において施設にいずれか一方が入所し、食費と居住費を負担することが難しいと認められる場合も、施設の種類によっては特別減額措置が適用されることがあります。
また、社会福祉法人が運営する施設で利用できる制度として、利用者負担軽減措置があります。
低所得者および生活保護受給者に負担を軽減する制度ですが、利用するためにはサービスの運営母体となる社会福祉法人が制度の実施を地方自治体に申告していなければなりません。そのため、軽減措置が提供される施設か、それぞれの自治体の福祉課などで確認しておくとよいでしょう。
なお、この軽減措置の対象となるのは、社会福祉法人が提供する次のサービスです。
・訪問介護
・通所介護
・短期入所生活介護(介護予防短期入所生活介護)
・夜間対応型訪問介護
・地域密着型通所介護
・認知症対応型通所介護(介護予防認知症型通所介護)
・小規模多機能型居宅介護
・介護予防小規模多機能型居宅介護
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・介護福祉施設サービス
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
など