介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

子が親の介護施設入居金を負担したときは贈与税が課税されるのか

2022.07.08
分類:その他

日本は高齢化が進んでおり、親の面倒をみる子世代が増えつつありますが、直接介護はできなくても介護施設に入居するための費用など負担するケースもあるでしょう。

ただし費用を負担するときには、贈与税について注意しなければなりませんが、子が親の介護施設入居金を負担した場合、贈与税の課税対象となるのか説明していきます。

介護施設入居金は通常の日常生活に必要な費用なのか

親が老人ホームに入居することになったとき、子が入居一時金を負担すると、子から親に対する生前贈与となって贈与税が課税されるのか気になる方もいるようです。

結論からお伝えすると、社会通念上、必要と認められる範囲で負担するのであれば、贈与税は課税されません。

国税庁の公式ページでも、「贈与税がかからない場合」として、次のような記載があります。

“贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかりますが、その財産の性質や贈与の目的などからみて、次に掲げる財産については贈与税がかからないことになっています。”

そして贈与税がかからない財産として、次のような記載もされています。

2 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの

ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。

なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。“

これらの記載からわかるとおり、老人ホームの入居一時金が社会通念上、通常の日常生活に必要な費用であると認められれば、贈与税は課税されないと判断できます。

 

贈与税がかからないと認められるかはケースバイケース

老人ホームの入居一時金としてかかる費用は、350500万円が相場であるため、この範囲で負担するのであれば贈与税はかからないと判断できます。

ただ、過去には945万円の負担で問題になった例もあるようなので、金額が1千万円に近くなれば、子が親のために負担するときも夫が妻のために支払うときでも、贈与税が課税される可能性があるので注意してください。