介護を必要とする利用者宅を訪問し、介護サービスを提供する「訪問介護」と「居宅介護」の違いとは、介護保険法と障害者総合支援法の制度が関係します。
基づく法律が異なることにより、対象となる利用者とサービス体系が異なるといえますが、具体的にどのような違いがあるのか説明していきます。
「訪問介護」と「居宅介護」の違いを挙げると、まずそれぞれ適用される法律と、制度の仕組みです。
「訪問介護」は、介護保険法の中の介護保険制度で提供される訪問型の介護サービスで、加齢に伴い病気を患った方や身体機能が低下した方などに対し、居宅で自立した日常生活を営むことができるように訪問してサービスを提供します。
もう一方の「居宅介護」は、障害者総合支援法の障害福祉サービスであり、個人が日常生活や社会生活を営むことのできるように、障がいを抱える方の在宅生活を支援する訪問型の介護サービスです。
「訪問介護」を利用できる対象となる方は、65歳以上の介護保険第1号被保険者のうち要介護認定を受けている方で、第2号被保険者の場合には特定疾病の認定を受けた40歳~64歳の方に限定されます。
「居宅介護」の場合は、18歳以上の身体障がい・精神障がい・知的障がいで障害支援区分1以上の認定を受けた方や、18歳未満の障害支援区分1以上に相当する障がいを持つ子供です。
指定難病や特殊疾病、事故・ケガなどで肢体や視覚に障がいがあり、障害支援区分認定されているときに、居宅で介護の利用が可能となるのが障害福祉サービスの「居宅介護」といえます。
障害支援区分認定者で40歳~64歳未満の方は介護保険が優先されますが、交通事故が原因の障がい者である場合には介護保険の対象にはなりません。
65歳以上の方の場合、特別な事情がなければすべての方が原則、介護保険を優先するため、 障害福祉サービスの「居宅介護」の利用はできないと理解しておいてください。
「訪問介護」は自宅で家族を介護する自宅介護や在宅介護、居宅介護といった表現がされますが、介護保険法では利用者宅で生活支援することを居宅サービスとしています。
「居宅介護」は障がい者の在宅生活を支援する介護サービスですが、障害者総合支援法で在宅生活や外出などの支援をする自立支援給付の訪問系障害福祉サービスとして挙げられるのは、主に以下のとおりです。
・居宅介護(ホームヘルプサービス)
・重度訪問介護
・行動援護(知的・精神障がい者が対象)
・同行援護(視覚障がい者が対象)
・重度障害者等包括支援
このうち重度訪問介護は、重度の肢体不自由(身体障がい)や知的・精神障がいにより、介護や見守りを常時必要とされる人が利用できる障害福祉サービスです。
介護保険法の訪問介護と異なる枠組みとなっているため、原則、重度訪問介護と介護保険の身体介護・家事援助を併用することはできないので注意してください。