寝たきりになった親の介護は、介護施設への入所で対応してもらうのか、それとも家族が自宅で行うのかなど、迷う方も少なくありません。
寝たきり状態とは要介護度のうち最も重い「要介護5」であるといえ、意思疎通の有無なども関係していきます。
食事・排泄・入浴など日常生活全般の介助が24時間必要となるなど、自宅でケアすることは簡単なことではないため、介護施設へ入所することを勧められることが多いといえるでしょう。
ただ、自宅で寝たきり介護ができないわけではけっしてありません。
そこで、寝たきり介護を自宅で行う場合の注意点について説明していきます。
自宅で寝たきりの高齢者を介護することは、医療ケアが必要なければ可能といえます。
ただし寝たきり状態の方の介護は、介護する家族の負担が大きくなってしまいます。
利用できる介護保険サービスなど活用しながら、できる限り負担を減らす工夫も必要となるでしょう。
寝たきり介護の場合、自らの意思で身体を動かすことが難しい方の介護を担当することになります。
そのため自宅で寝たきり介護をするときには、次の3つを発生させないことを注意点として押さえておきましょう。
・床ずれ
・廃用症候群(生活不活発病)
・誤嚥
それぞれ説明していきます。
寝たきり状態の方は自分で体位変換ができず、身体の一部が持続して圧迫され続けることにより、循環障害が残り皮膚の一部が壊死する「床ずれ」が起きやすくなります。
床ずれを発生させないためには、次のことを注意しておきましょう。
・体位交換を定期的に行う
・下着や衣類のゴムが肌にくい込むことのない身体に合う寝具を着用してもらう
・シーツは張った状態で敷く
・しっかりと栄養をしっかり摂ってもらう
長期間に渡り寝たきり状態が続くと、身体機能が衰え心身機能も低下してしまうことがあります。
この状態を「廃用症候群」といい、「生活不活発病」と呼ばれることもあるなど、さまざまな症状発症の原因になってしまいます。
寝たきり状態が1週間続いたとき、筋力は約10~20%低下するといわれていますが、回復するには1か月かかります。
そのため可能であればできるだけ短い距離は歩いてもらったり簡単な運動をしたり、座位の状態を増やすことやゆっくりと関節を動かすことを行いましょう。
体位交換も定期的に行い、いつも同じ姿勢や状態でいることは避けたほうがよいといえます。
「誤嚥」とは、飲み込む力の低下によって、食道ではなく気管に食べものが入ってしまうことです。
食べものだけでなく、唾液や胃液、細菌が気道に入り、肺で炎症を起こして誤嚥性肺炎を起こしてしまうこともあります。
そのため寝たきり状態でもテーブルと椅子で食事が可能なら、できるだけ座った姿勢で食事をとるようにしてください。
ベッドで食事をとるときには、リクライニングの角度を45~80度にし、腰はベッドの隙間をなくすように座ったほうがよいでしょう。