介護病院というイメージが強いのが、慢性期の医療ニーズに対応する今後の医療・介護サービスを提供する療養施設です。
療養病床の在り方をはじめとして、施設利用者は現在、次のような問題を抱えているといえます。
・容体が急変するリスクを抱えている場合がある
・上記リスクに完全対応できる介護保険サービスが存在しない
そこで、このようなニーズを満たす新たな選択肢として誕生したのが「介護医療院」です。
日常生活を送る上で必要な医療処置や充実した看取りを実施する体制が整備され、生活様式に配慮し長期療養生活を安心して送ることのできるプライバシーの尊重と、家族や地域住民との交流可能な環境が整えられた施設といえます。
「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が2017年6月2日に公布されたことと、介護保険法が改正されたことに伴って、新しい介護保険施設である「介護医療院」が創設されました。
そこで、介護医療院とはどのような施設なのか、その特徴について解説していきます。「介護医療院」とは、長期的に療養を必要とする要介護者に対し、医療ケア・介護サポート・生活支援を行う介護保険施設です。
2018年に介護報酬が改定されたことで新たに創設された施設であり、日常的な医療ケアだけでなく看取り・ターミナルケアなどの医療機能や生活施設機能を有していることが特徴といえます。
療養病床である「介護療養型医療施設」と「医療療養型病院」の棲み分けについて議論が繰り替えされた結果、介護療養型医療施設は廃止されることが決定しています。
介護療養型医療施設が廃止された後は、「介護医療院」「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」などに段階的な経過措置を経て、2024年3月末までに完全移行されます。
介護医療院の存在意義として、療養病床などからの移行先としてでだけでなく、住まいと生活を医療が支える新しいモデルであることが挙げられます。
利用者の尊厳を保持した上で自立支援することを理念としており、地域に貢献し開かれた交流施設として役割を担うことが期待されています。
また、利用者の看取り・ターミナルを支えることも重要な役割の1つです。
介護医療院は特別養護老人ホームや介護老人保健施設と同じく、地域交流を基本的な方針とした位置づけです。
地域における役割や交流などについて、地域住民にも懇切・丁寧に説明することが求められます。
閉鎖的な場所ではなく、ボランティア受け入れや地域交流を積極的に取り組み、あくまでも地域に開かれた施設でなければならないといえるでしょう。