介護施設は社会福祉法人などが運営していることが多いですが、もし寄付をする場合には、個人・法人どちらの場合でも税法上の優遇措置の対象です。
たとえば個人の社会福祉法人への寄付は、社会福祉事業に対する寄付となるため、寄付金控除を受けることが可能とされています。
そこで、個人と法人それぞれが社会福祉法人に寄付をしたときの税法上の優遇措置について解説していきます。社会福祉法人など特定公益増進法人に寄付をすると、税法上の優遇措置の対象となります。
優遇措置は、個人が寄付するのか、それとも法人によるものかによって次のとおり異なります。
・個人の優遇措置
・法人の優遇措置
それぞれ説明します。
個人が社会福祉法人など特定公益増進法人に寄付した場合、所得税にかかる寄付金控除の対象となる所得控除制度に加え、税額控除制度も導入されているため確定申告でどちらか選択できます。
それぞれの違いは以下のとおりです。
・所得控除
・税制控除
それぞれ説明します。
寄付した金額が2,000円を超え、総所得金額の40%を上限に超えた金額を所得額から差し引くことができます。
所得控除額=1年で支払った寄付金額-2,000円
所得税額から、所得税額の25%を上限に以下の金額を差し引くことができます。
・税額控除額=(税額控除対象法人に対する寄付金額-2,000円)×40%
法人がが社会福祉法人など特定公益増進法人に寄付した場合、一般の寄付金と別に損金算入が可能です。
寄付合計額と特別損金算入限度額のいずれか少ない金額の範囲で損金算入できます。
寄付金の優遇措置は、寄付を受けた社会福祉法人などが税額控除対象法人であることが必要です。
税額控除対象法人になるためには、社会福祉法人の設立認可を受けた所轄庁から租税特別措置法の要件を満たしていることについて証明を受ける申請が必要になります。
次の要件のうち、いずれか満たしていれば証明を受けることが可能です。
・要件の適合を判断する実績判定期間が5年間
・実績判定期間は直前に終了した事業年度から遡って5年間
設立後5年に満たない場合には、設立日から直前に終了した事業年度終了日までを実績判定機関としますが、設立して1年以上は必要となります。
そのため新設したばかりの社会福祉法人に寄付をしても、税制上の優遇措置の対象にならない場合もあるといえるでしょう。