日本は高齢化が進んでいますが、高齢者の増加に伴って、介護保険認定を受け介護サービスを利用する要介護者や要支援者も増えていくと考えられます。
そのため介護事業は成長市場と言えるものの、法人格を取得することが条件として必要です。
介護事業の立ち上げでは、株式会社や合同会社ではなく「NPO法人」の法人格が選ばれることも少なくありませんが、NPO法人とはどのような法人格なのか、ボランティアとの違いについて解説します。
「NPO」とは、「Non(非)」と「Profit(利益)」「Organization(組織)」の頭文字を取った略語や、「Not-for-Profit Organization」の頭文字を省略した呼び方とされています。
いずれも営利目的ではない「非営利組織」のことであり、福祉・保健・医療・教育・まちづくり・環境保全などいろいろな分野で社会的に貢献できる活動を行うことが特徴です。
柔軟性や創造性など強みを活かしつつ、多様化するニーズに対して細かな対応を目指しており、1998年にNPO法(特定非営利活動促進法)が施行されたことでNPO団体が法人格を取得することができるようになりました。
そのためNPO法(特定非営利活動促進法)に基づいた法人格を取得したNPO団体が「NPO法人」であり、全国でも5万を超えるNPO法人が運営されています。
NPO法人で一定基準を満たすことにより、所轄庁から認定を受ければ「認定NPO法人(認定特定非営利活動法人)」として活動することが可能です。
NPO法人(特定非営利活動法人)設立には、以下の要件を満たすことが必要です。
・特定非営利活動を行うことが主たる目的であること
・営利目的でないこと
・社員の資格取得や喪失について不当な条件を付さないこと
・役員のうち報酬を受ける方の数が役員総数の3分の1以下であること
・宗教活動や政治活動が主たる目的ではないこと
・特定の公職者やその候補者、または政党推薦・支持・反対することが目的ではないこと
・反社会勢力やその構成員などの統制下にある団体でないこと
・10人以上の社員を有すること
なお、特定非営利活動としては、特定非営利活動促進法に規定された保健医療・社会教育・まちづくりなど 20種類の分野が挙げられます。
いずれにしても、不特定かつ多数の利益増進に寄与することが目的の活動であることが求められるといえます。
また、「非営利」とは、お金を受け取らない「無償」による活動と誤解されがちですがそうではなく、利益を得ても構成員に分配しないことを指しています。
株式会社などの場合、利益は株主へ配当されますが、NPO法人では利益を構成員に分配することはなく、社会貢献事業の資金に充てることになります。