介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

不動産所有者が亡くなったときの相続による所有権移転登記とは?

2023.09.24
分類:その他

介護施設を利用している方の中には、不動産を所有しているというケースも少なくありません。

 ただ、不動産の所有者が亡くなったときには、所有権を相続人へ移す所有権移転登記が必要になります。

 相続による所有権移転登記は、所有権を移転してもらう方が単独で手続するため、申請においては添付する書類もとても厳格となっています。

 この相続登記は特に申請期限などは設けられていないものの、不動産の所有名義を変更せずに放置し、本来相続し所有者となるはずだった方が亡くなると、また次の相続が発生してしまい手続が複雑になってしまうでしょう。

 そのため早めに手続したほうがよいといえますが、不動産所有者が亡くなったときの相続による所有権移転登記について解説していきます。

相続による所有権移転登記の必要書類

 不動産名義を相続により変更する所有権移転登記については、以下の書類を準備することが必要です。

 ・被相続人の戸籍の附票または住民票の除票(被相続人が不動産登記の名義人と同一であることを証明する)

・被相続人とつながりがわかる戸籍謄本(相続人か確認するために必要)

・遺産分割協議書(法定相続分と異なる割合での相続において必要)

・すべての相続人の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印された印鑑が実印であることを証明するために必要)

・ 相続放棄申述受理証明書(相続放棄する相続人が存在し、家庭裁判所に相続放棄申述をした場合に必要)

・固定資産評価証明書 (市役所で取得可能)

・委任状(司法書士など登記手続を専門家に依頼する場合に必要)

  

所有権移転登記の注意点

 相続による所有権移転登記をするときには、以下のことに注意しましょう。

 ・遺産分割協議書はすべての相続人参加が必要

・被相続人と登記名義人の同一性の証明方法

・不動産の権利証などの紛失への対応

 それぞれの注意点について説明します。

  

遺産分割協議書はすべての相続人参加が必要

遺産分割協議書はすべての相続人が参加し協議した上で作成することが必要です。

一か所に集まらなくても、郵送でやりとりしてもよいので必ず全員の了承のもと作成することが必要であり、一部の相続人を除外した遺産分割協議は無効とされます。

 

被相続人と登記名義人の同一性の証明方法

戸籍の附票や住民票の除票は、保存期間が除却後5年となっているため、被相続人の登記簿上の住所と亡くなったときの住所が合致することを証明できないことがあります。

この場合、登記上の住所地の市区町村で登記名義人と同一の氏名・住所の者が他にいないことを証明する不在籍不在住証明書と、権利証または登記識別情報により同一性を証明できます。

 

不動産の権利証などの紛失への対応

権利証または登記識別情報を紛失していた場合、すべての相続人により「登記名義人と被相続人が同一人であることの上申書」で代用が可能ですが、法務局に確認しておくと安心です。