介護業界が抱えている問題はいろいろありますが、特に人材不足をどのように解消するかが急務とされています。
高齢化が進む日本では、介護サービスの担い手は貴重な存在といえるものの、人材を雇用する側となる介護事業者数は今後増えるのでしょうか。
そこで、介護事業者数は今後増えていくのか、現状と推移・将来的な増減について考察していきます。
介護事業者数の推移を確認する上で、厚生労働省が公表している「令和3年 介護サービス施設・事業所調査の概況」を参考にすると、介護老人福祉施設の施設数は8,414施設でした。
令和2年と比較すると108施設増えているのに対し、介護老人保健施設は前年よりも減少しています。
また、訪問介護事業所や訪問看護ステーション、介護予防訪問看護ステーションは前年から大幅に増えているため、今後も増加することが予想されます。
職種別の介護従事者数をみると、医師と看護師は介護老人福祉施設で増加しているのに対し、介護老人保健施設では減少しています。
介護職員は介護老人福祉施設で増加、介護老人保健施設では減少しているようです。
介護老人福祉施設で従事する医療従事者や介護従事者は増加傾向にあるのに対し、介護老人保健施設ではどちらも減少しています。
特に介護保険施設での看護師不足が浮き彫りになっているようです。
日本は少子高齢化が進んでいるため、現役世代はこれからもさらに減ってしまうと予想されます。
しかし、介護を必要とする高齢者は増加していくため、介護現場をまわすためには少ない人手で対応できる仕組みを実現しなければなりません。
たとえば就職氷河期世代の就業支援や、地域・保険者間の格差解消、介護現場へのロボット・ICT・AIの導入・実用化を推進することが必要といえます。
介護現場は肉体労働でもあり、長く働くことが厳しいと途中で退職してしまう方も後を絶たず、離職率も高めです。
そのため長く働くことのできる職場になるように、介護スタッフの負担を軽減できる仕組みや制度、設備などを導入していくことが必要となるでしょう。
職業人生を豊かにすることは老後の生活も豊かにできるため、介護業界で長く働こうと考える方も増えることが期待できます。
介護人材が流出しないように、今後もAIやIT技術導入などを進めていくことが必要といえます。