介護施設に入所して介護サービスを利用する場合、その形態がユニット型の場合もあれば多床室型という場合もあります。
最近では特別養護老人ホームなども多床室型ではなくユニット型の介護施設が増えているように感じるかもしれませんが、まだまだ多床室型のほうが多い印象です。
ただ、ユニット型のほうが手厚く多床室型はメリットが薄いわけではなく、多床室型にもメリットはありますので、どのような部分がよいのかご説明します。
たとえば多床室型の介護老人保健施設の場合、医師が常駐して看護師も複数配置されており、入所者の健康状態に合った医療の提供ができていることが多いといえます。
また、理学療法士や作業療法士なども配置され、充実したリハビリが可能な場合や、管理栄養士によるそれぞれの入所者の摂食状況に応じた滋養管理がなされています。
そしてユニット型のように個室費用がいらないため、入所時一時金、月間費用などが割安になることが大きなメリットです。
2000年以前は多床室型が一般的な介護施設のスタイルでした。
多床室型では部屋の中に4人や6人分のベッドや仕切り用カーテンが設置され、目に触れる部分は隠せても臭いや音までは隠せないという状況になるため、十分にプライバシーが守られている空間とはいいがたい状態ともいえます。
また、介護スタッフと入所者の割合は1:3と決まっており、入所者3人に対して介護スタッフ1人の配置が必要とされています。
対するユニット型の場合、入所者は個室で過ごすことになるので十分にプライバシーが守られるようになります。
5~9人が1つのユニットとなって、そのグループごとに1人の介護スタッフが配置されればよい形です。ユニットごとに共有スペースであるリビングや食堂などもあり、顔なじみの入所者や介護スタッフと家族のような雰囲気で生活を送ることができるといったことも魅力です。
多床室型では単位ごとの生活ではなく、施設全体でスケジュールが組まれていることから、入所者のそれまでの生活のリズムや習慣などを尊重することも難しくなります。しかしユニット型であれば少人数への対応となるため、それぞれの入所者の生活リズムを尊重できることもメリットといえるでしょう。
多床室型よりも設備や維持費はかかるかもしれませんが、その分、必要とする人手が少なくなるので人件費削減につながるとも考えられます。
ただ、ユニットという生活における単位が組まれることで、入所者同士に合う・合わないという問題が出てきます。性格などが合わない方同士が同じユニットになってしまうとトラブルに発展し、住み替えが難しいという問題などから多床室型のほうがよいと考える方もいるのです。
必ずしもユニット型施設が理想的というわけではないので、入所者のニーズに合わせることを可能とすることが最も望ましいと認識しておきましょう。