都道府県ごとの要介護や要支援の認定率を見た場合、地域格差とも感じられる結果となっています。
年齢構成と強い正の相関、そして疾病や医療供給体制、福祉行政などとの相関もみられ、さらに負の相関でも運動習慣と強い相関、自治体の財政状況に所得水準との相関などが確認できます。
しかしそれぞれの介護を必要とする方が、公平に介護サービスを利用するために地域格差はなくさなければならないと考えられるでしょう。
ではなぜ、地域によって格差が広がっているのか、その要因についてご説明します。
たとえば平成24年度の都道府県別でみた、被保険者1人あたりに給付されている介護給付費の金額を確認すると全国平均は24万円でした。それに対し埼玉県は19万円と少なく、一方沖縄県は31万円と両県では1.6倍という地域格差が発生しているのです。
同じく要介護2~5の高齢者のうち、施設・居住系サービスを利用する方の割合は全国平均37%だったのですが、佐賀県が最も多く50%以上、最も少ないのが東京都や大阪府で30%弱という結果でした。
さらに要支援・要介護の認定率を見ても、地域によりばらつきが見られ、同じ心身状況であったとしても住んでいる都道府県によって認定されるかどうか変わってくると感じられるような結果となっています。
平成27年度の被保険者1人あたりの介護費年額を確認すると、95歳以上で施設・居住系サービスを利用する方の金額が134.7万円ともっともおおく、90~94歳の方が76.9万円、65~69歳の方は1万円とかなりの年齢による開きがみえます。
在宅によるサービスを利用するケースでみても、95歳以上の方の金額が78.1万円ともっとも多く、その他の年齢層の方は施設・居住系と在宅のどちらでもそれほど違いはありません。
高齢になるほど介護サービスへの依存も強くなりますが、今後、高い年齢の方が増え続けることを考えれば、1人あたりの介護費も従来どおりではすまなくなると考えられるでしょう。
なお、65歳以上の就業率が高い地域の方が、要支援認定率は低めの傾向であるのに対し、65歳以上で単身世帯率が高い地域の方が、要支援認定率は高めの傾向となっています。
このことから、過疎化が進む地方のほうが認定率は高くなり、リタイア後も就業している方が多い都心部などの地域のほうが認定率は低くなりやすいと考えられるでしょう。
また、認定率が低い地域では、近年、介護予防の取り組みも積極的に実施されていることも確認されるなど、このような取り組みが今後も拡大されることが期待されるといえます。