医療法人とは、病院、医師などが常時勤務する診療所や介護施設(介護老人保健施設)を開設することを目的に、医療法の規定に基づいて設立される法人のことです。
医療法人の名称に「医療法人社団」という言葉が使われていることがありますが、これは社団たる医療法人を示しています。
医療法人の最も基本的な区分には社団たる医療法人と財団たる医療法人がありますが、もし介護老人保健施設を運営する上で医療法人の設立を検討しているのなら、この種類の違いについて理解を深めておきましょう。
医療法人のうち、99%が社団たる医療法人といわれているほど多くを占めているのが現状です。
社団たる医療法人は出資持分の有無でみたとき、出資持分のある医療法人と出資持分のない医療法人に分けることができます。
社団たる医療法人であり、定款に出資持分に関しての定めが設けてられている法人ですが、現在は出資持分のある医療法人の新規設立はできなくなっています。
ただ、すでに設立されている出資持分のある医療法人は、存続可能とする経過措置がとられているので、経過措置型医療法人と呼ばれ社団たる医療法人の9割以上を占めている状態です。
社団たる医療法人のうち、定款に出資持分の定めがない法人ですが、現在、社団たる医療法人を新規で設立する場合には出資持分のない医療法人のみ認められています。
出資持分のない医療法人のうちの1つですが、資金の調達手段に基金の制度を採用している法人です。
基金とは社団たる医療法人に拠出された資金であり、拠出者に対して返還義務を負うものでもあります。
現在医療法人を新設するケースでは、この基金制度を採用した医療法人形態が一般的になっているとも考えられます。
ただ、特定医療法人という社団たる医療法人でも財団たる医療法人でも承認対象となる租税特別措置法に規定のある特定の医療法人については、基金制度を用いることはできません。
そのため、基金制度を採用した医療法人が特定医療法人の承認を受けようとする場合には、拠出者に基金を返還することが必要になります。
なお、特定医療法人の場合、国税庁長官の承認を得ることによって法人税の軽減税率適用など、税制上の優遇措置が適用されることが大きなメリットです。
ただし承認を得ることは簡単なことではなく、厳格な要件をクリアしなければならないとされています。