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介護施設の運営母体などでみられる社会医療法人とはどのような法人格?

2020.04.02
分類:その他
公益性の高い医療の担い手として、2007年、第5次医療法により定められた医療法人の1つが「社会医療法人」です。介護施設などでもこの社会医療法人が母体となっていることがありますが、どのような特徴のある法人格なのでしょう。

社会医療法人の特徴

社会医療法人は、事業内容の公益性だけでなく医療計画上、支援を受けることが可能となるため、経営体制への信頼感の高さから医師などの職場として選ばれやすいことが特徴です。

医療を提供する体制を維持させるには、採算が合わないとわかっていても取り組まなければならない公益性の高い医療も存在します。

自治体病院などが取り組んでいるこのような公益性の高い医療の担い手として認められた民間の医療法人が社会医療法人なのです。

公益性の高い医療とされているのは、

・休日診療や夜間診療などの救急医療

・周産期医療を含む小児救急医療

・へき地医療や離島医療

・重症難病患者に対する継続的な医療

・感染症患者に対する医療

・筋萎縮性側索硬化症(ALS)など、継続して在宅医療が必要な患者に対する医療や、療養環境を向上するための活動

・災害医療

・精神救急医療

・心神喪失等で重大な加害行為を犯した者に対する医療、および観察などに関する法律に基づく指定医療機関の実施する医療

・患者の早期社会復帰に繋がる医療連携

・先進的な医療安全や疾病予防に取り組み、患者や地域の医療機関に対し行う無償の相談助言・普及啓発活動

・質の高い医療従事者の確保と育成に関する活動

・高度な医療技術を利用した研究開発の実施と、研究結果情報を患者や地域の医療機関に対し無償で提供する活動

・治療と有機的連携による治験活動など

です。

これらのように公益性の高い医療の担い手はそもそも自治体病院だけでしたが、赤字経営で医療を提供し続けることが難しい状況です。

そこで、自治体病院に代わり公益性の高い医療の担い手として社会医療法人を認定し、同様に公益性の高い医療に取り組んでもらうことで地域医療の存続を狙っているといえるでしょう。

 

社会医療法人の特権とは?

公益性が高い医療を提供するだけに、社会医療法人として認定されれば税制上の優遇措置など様々なメリットがあります。

ただし法人として設立するまでのハードルはけっして簡単にクリアできるものではなく、高い要件を満たすことが必要です。

社会医療法人として認められれば、自治体病院に回されていた公費が投入され、税制上の優遇措置などメリットも大きく、通常の医療法人では取り組むことのできない収益業務にも取り組むことが可能であるなど通常の医療法人では着手しにくい領域まで進出することができます。