年を重ねていくと、若いころと違い身体のあちこちに不自由さを感じることは少なくありませんが、もし介護が必要だと感じて介護サービスを利用したいと思ったときには、要介護認定を受けることが必要です。
では、要介護認定は何のために必要なのか、どのように判定するのかなど、その内容をご説明します。要介護認定は、介護保険で介護サービスを利用することを希望する場合、その方にとってどのような介護がどのくらい必要なのかを判断する基準として設けられています。
介護保険に加入していることの証明である介護保険被保険者証は65歳になった方に交付されることになりますが、保険者証があっても介護保険による介護サービスは受けることができず、要介護認定を受けて介護サービスが必要と認められることが必要です。
要介護認定は市区町村に申請を行いますが、申し込みの内容により、介護を必要としているのか、必要とするならどの程度必要かを介護認定審査会が判定することになります。
具体的な判定方法は、まず市区町村の担当者が行った聞き取り調査、そして主治医意見書などを基準とし、介護の手間をあらわすものさしとしての時間(要介護認定等基準時間)を推計し、7つのレベルに分けます。
その判定をもとにして、介護認定審査会による審査の結果、要介護度が決まるという流れです。
要介護認定は、どのくらい介護を必要とするのかにより、要支援1、2、要介護1~5の7つのレベルに区分されます。
どの区分に該当するかにより、利用できるサービス内容や支給限度額が異なってきます。
要介護度の定義は特にありませんが、それぞれの区分での心身状態は次の内容を目安にするとよいでしょう。
日常生活の基本的なことをほとんど自分で行うことが可能ではあるものの、一部介助が必要とされる状態
日常生活の基本的なことはほとんど自分で行うことが可能ではあるのもの、立ち上がりや歩行といった運動機能に若干低下が見られるなど、ときどき介助が必要となる状態
身の回りのことはほとんど自分で行うことができるものの、歩行や立ち上がりが不安定で、さらに認知機能や思考力、理解力などが低下していることで、介護が必要とされる状態
立ち上がりや歩行には支えが必要であり、日常生活能力や理解力なども低下しており、食事や排せつなども部分的に介助が必要な状態
歩行を自分だけで行うことができない場合もあり、立ち上がりや排泄など身の回りのことも自分ではできず、全面的に介助が必要な状態
歩行、立ち上がり、排泄など身の回りのことなど自分ではできず、介助がなければ日常生活を営むことが困難な状態
寝たきり状態であるなど、一人では日常生活を送ることができず、意思の疎通などがほぼ困難で問題行動を起こす可能性もある状態
もし要介護認定による区分が決まったけれど、その結果に納得できないという場合には、都道府県に設けられている介護保険審査会に対し、通知を受け取った翌日から60日以内に不服申し立てを行うことで再検討されます。ただ、再度、調査などで結果が出るまで数か月かかるという場合もあります。
また、それまでと要介護区分が変更されたと判断された場合、区分変更申請を行うこともできます。その結果は30日以内に通知されますが、申請を行ったからといって希望する区分で認定されるとは限らないようです。