少子高齢化は2040年にそのピークを迎えるといわれていますが、2025年から2040年を境に高齢化のスピードは鈍化しつつも現役世代の人口も減少し、今後の介護業を支える担い手不足がさらに深刻化すると予想されています。
以前内閣府が発表した2019年度版の「高齢社会白書」によると、高齢者人口は2025年には団塊の世代が75歳を超える後期高齢者になり、3人に1人が65歳以上という時代がやってくるとしています。
介護ニーズが減少する地域と、人口の流入で高齢化がさらに進む地域への対応・対策が重要になると考えられますが、首都圏の超高齢化問題についても考えなければなりません。
地域によって高齢化に差が出るといわれる中で、東京をはじめとする首都圏、大阪、愛知などの都市部は介護ニーズが増え続けると考えられます。
地方エリアでは若い世代が都市部に移住することで、高齢者だけが遺されることとなり、少子高齢化が進んでいる状態です。
しかし実際には高齢化に向けた対処が難しくなるのは地方ではなくむしろ首都圏などの都市部で、高度経済成長期以降に多くの若者が流入した結果、高齢者が残った地方で新しく高齢者になる層も少なくなっています。
それに対して首都圏などの都市部の場合、上京した団塊の世代が後期高齢者になるため、2045年になると東京、神奈川、大阪、愛知などいずれも3割を軽く超える高齢者数となることが予想されているのです。
高齢者が一気に増えることにより、福祉や医療サービスへの需要が高まる一方で、子育て支援に充てる予算は減少気味という状態です。
さらに都市部の出生率も低下しているため、現役世代も減少傾向という状況の中、どのように介護需要に対応するかが問題視されています。
2045年には東京も3人に1人は高齢者になり、老人ホームなど高齢者施設が不足することが予想されます。
実際、東京など首都圏や都市部の地価は地方よりも高く、今の介護報酬制度で土地や建物を購入しその費用を捻出していくことはまず困難です。介護施設の需要は高まっていても供給が追い付いていない状態で、すでに都内の特別養護老人ホームの待機者は2018年時点で約3万人という数になっています。
国もこのような事態を何とか回避しようと、一般向けの民間マンションなどの物件の一部を介護保険施設に活用することを可能とするといった対応も行っています。
他にも所有を原則とした、土地や建物の賃貸借契約での特別養護老人ホームの設置を認めるといったことも実施していますが、まだまだそれが根本的な解決につながっているとはいえず、今後の対応に期待されるところです。