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介護施設を投資の対象としたヘルスケアリートとは?

2020.06.03
分類:その他

介護施設を対象として投資を行う不動産投資信託(リート)であるヘルスケアリートをご存じでしょうか。

ヘルスケアの対象となる施設は、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、グループホームです。

入居者に対し、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、グループホームなどで施設や住まいを提供し、オペレーター(借主)には事業用資産の賃貸を行います。

オペレーターに対しては、入居者からの入居一時金と月額利用料、そして市町村などから支給される介護報酬が支払われます。

投資法人は原則、オペレーターと固定された賃料で長期的な賃貸借契約を結ぶこととなるため、入居者の数や介護報酬の増減には関係なく、安定した賃料を中長期的に受領できる仕組みです。

リスクは利用者・オペレーター・投資家すべてにある

ヘルスケア施設のニーズは経済環境に左右されにくいため、一般のリートより安定した投資対象になると考えられていることがおおいようです。

ただし、実際には施設の現場でどのような事態が起きるか判断しにくいといった懸念材料も残っていると考えられています。

利用者にとってのリスク

高齢者にとっては生活の拠り所である介護施設が投資対象として扱われれば、万一の際に利用者が置き去りにされてしまうのでは?といった不安も発生してしまいます。

もし資産運用会社の間で施設が売買されることとなり、利用継続が難しくなったりサービス内容に変更があったり、施設の利用料金を引き上げられるといったことがあれば、利用者も安心できません。

オペレーターにもリスクはある

オペレーターにとっても、投資効率が優先されれば人員配置や設備投資など自由に行うことが難しくなるでしょう。

過度に情報を提供するように要求されるなど、自由な経営が難しくなる可能性も出てきます。

投資家が抱えるリスクとは

さらに投資家にとっても事例が多くないため、高稼働で運営している施設を投資対象とすることが必要なのにその判断がむつかしいなど、投資リスクの評価は容易ではありません。

もし介護保険制度の改正により、期待していた収益の確保が難しくなれば…と考えれば不安や懸念も出てくるといえるでしょう。

高齢化により、介護施設に対するニーズは拡大しているので、ヘルスケアリートの市場規模も大きくなることが予想されます。ただし特殊な用途なので、一般のリートより流動性が低い点も投資家からみればマイナス材料となるでしょう。

将来の生活や社会に密接に関わる制度のため、その先をしっかりと見守っていきたいところといえます。