介護施設で生活する高齢者の中には糖尿病を患っている方や認知症の方は少なくありませんが、これらの疾患は遺伝子などが関係するのでしょうか。
そこで、一般的に遺伝が関係するのではと考えられている糖尿病や認知症の原因などについてご説明します。
糖尿病とは、インスリンの働きが悪くなることが影響し血糖値が上昇してしまう疾患ですが、発症原因は次のような型により異なります。
膵臓でインスリンを作るβ細胞が破壊されインスリンを生み出す能力が低下してしまうのが1型糖尿病です。β細胞が壊されてしまう原因はまだ明確には解明されていませんが、免疫反応が正しく機能せず自らの細胞を攻撃する自己免疫が関係すると考えられています。
そのため特定の遺伝子が強く影響するという理由ではないといえるでしょう。
インスリンの分泌が低下したりインスリンが効きにくくなったりすることで血糖値が高くなるのが2型糖尿病です。
原因は遺伝的な影響もあると考えられていますが、それ以外に運動不足や食事、肥満など環境的な影響もあると考えられています。
遺伝的因子と生活習慣など環境因子が影響していますが、過食や運動不足などの習慣が家族から受け継がれれば家族内で糖尿病を発症する方が多くなるため遺伝的な要素が強いといわれている可能性もあります。
原因となる遺伝子が特定されている、膵β細胞機能に関係する遺伝子異常・インスリン作用の伝達機構に関係する遺伝子異常などが原因の糖尿病もあります。
認知症も遺伝してしまうとすれば、祖父母や両親が認知症の場合、自分もいずれ認知症となると不安になってしまうものです。
現在の研究では認知症の発症にはいくつかの遺伝子が関係することがわかっていますが、家族が認知症で自分も発症した場合でも、それが遺伝の影響とは言い切れません。
アルツハイマー型認知症などは高齢の方ほど発症率が高くなるので、遺伝というよりも加齢の影響が大きいといえます。
若年性アルツハイマー病は遺伝の影響が大きいとされていますが、発症した方の中でも遺伝が疑われているのは1割程度です。
遺伝してしまう疾患を心配して気分が沈んだまま過ごすことは好ましいことではないので、すべてが遺伝子によるものではないと考え、毎日を前向きに過ごしながら予防にも目を向けていくことが望ましいでしょう。