介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

介護施設で利用者が抱える排便障害の問題を解決するために

2020.07.10
分類:その他

介護施設で利用者をケアする際、便秘や下痢などの排便障害の方への対応に悩むこともあるようです。

そこで、年齢に関係なく排便障害が起きる要因は何なのか、介護の現場でどのようなアセスメントが必要になるのかご説明します。

排便障害が起きる要因

年齢に関係なく、排便障害が起きる要因として次の4つの要因が関係していると考えられます。

排便環境

通常であれば便意を自覚したとき、トイレまで自らが移動し衣服を下げて排せつし、その後の処理も自分で行います。

しかし介護を必要とする方はこれらの行為を自分で行うことができないこともありますし、準備に余裕がなければ時間が制約され失禁の原因にもなるでしょう。

排便環境が整備されているかによって、精神的な部分にも大きな影響を及ぼすと考えられます。

全身性疾患

手足の麻痺や筋力が低下してしまう疾患を抱えている場合、トイレまでの移動やいきみなどに影響することとなり、うまく排せつできないこともあるようです。

また、排便は自律神経が深く関係しているので、自律神経に異常が伴う疾患の場合には下痢や便秘になってしまう可能性も考えられます。

消化管機能

食べたものが消化され便となって直腸まで運ばれるまでの過程において、問題が発生していれば排便にも支障をきたします。

直腸肛門機能

直腸に異常が生じると少ししか便が溜まらないので、トイレにすぐ行きたくなってしまいます。

また内肛門括約筋や外肛門括約筋に異常がみられる場合、気が付かない間に便がもれてしまうこともありますし、間に合わないまたは締められずにもれてしまうこともあるようです。

いきむのに必要な腹筋、横隔膜、骨盤底などの力が弱くなっているときも同様の問題が起きやすくなります。

 

適切な排便リズムを見つけ改善できる対策を

排便障害はこれらの要因互いに絡み合っておきます。

ベッド上で排泄をしなければならない方などはいきむことが難しいですし、多床室などの場合には他人の目が気になりうまくできない場合もあるようです。

便秘を解消するために下剤の投与なども検討されることがあるでしょう。ただし下剤はあくまでもその日の体調に応じて調整するべきであり、日常的に飲むものではありません。

本人にとって適切な排便のリズムを見つけ、3日間便が出ないから異常と考えず、排便困難や残便感、下痢、モレなど本人が苦痛に感じる問題を排便障害としてとりあげつつ、改善できる対策を検討していくことが必要です。