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がんの終末期は緩和ケア病棟より介護施設の方が苦しみは少ない?

2020.07.11
分類:その他

がんを患い終末期が差し迫り、亡くなる1週間前などには痛みがひどくなることが多いようです。

痛みから解放されていないがん患者も少なくなく、亡くなる1週間前にはさらに多くの方が痛みを感じており緩和ケアが浸透していないことも鮮明になっています。

ただ、がんの終末期患者が緩和ケアを受ける専門のホスピス・緩和ケア病棟よりも、介護施設のほうが苦しみや痛みは少ないとされていますが、その理由は何なのでしょうか。

痛みを軽減させるための専門性が高いホスピスや緩和ケア病棟

ホスピス・緩和ケア病棟は、がんの終末期患者が緩和ケアを受けるための施設といえます。自宅や高齢者施設で過ごしても痛みのある重度の方が病院やホスピス・緩和ケア病棟を頼ることが多いようです。

一般的な病院よりもはるかに専門性が高い施設でありながら、特別養護老人ホームや有料老人ホームなど介護施設よりも痛みの処置が低いのはなぜなのでしょう。

高齢者が過ごす介護施設の医療を担うのは、施設が契約した地域の医師などです。がん患者の自宅に訪問する以外に、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、グループホームなどの施設にも訪問しています。

それに対し、ホスピス・緩和ケア病棟は痛みを軽減させる施文の医療機関で、本来なら痛みが和らいだと安心して過ごせる設備や医師がそろっているはずなのに痛みは軽減されないようです。

 

緩和ケアが十分に行われないのはなぜか

なぜ、緩和ケアが十分に現場で行われていないのかというと、モルヒネやオキシコドン、フェンタニルといった医療用麻薬の使用量が異常に少ないことも理由として考えられます。

欧米諸国と比較すると10%前後であるのは、本人や家族の間で麻薬中毒になってしまうのではないかという不安があることや、医師にも忌避感が強いことが挙げられるでしょう。

さらに緩和ケアに対する基本的な理解も不足しており、本来の苦痛を和らげ生活の質を向上させるアプローチという部分において、痛みだけではなく心理的・社会的なストレスを配慮することもできていない場合があります。

人として大切にされたかという部分で不足が生じてしまうのは、救命・延命が使命と徹底的に教育課程により教え込まれる医師にとって、自然な死を受け入れ難いことが理由といえるでしょう。

しかし大量の点滴を続け緩和ケアに取り組んでも痛みは除くことができず、本人に寄り添う緩和ケアでなければがんも含め終末期の痛みを完全に取り除くことはできないと考えるべきです。

 

重視するべきなのは生活の質の向上

過剰な延命治療をするから不要な痛みやつらさを味あわせることになるため、がん終末期以降は自然の流れに任せながら緩和ケアを行うことが必要と考えられます。

本来なら緩和ケアは場所を問わず行えることであり、実際にも。欧米諸国のホスピスは医療スタッフが患者の自宅まで訪問したり病院に通院したりということがほとんどのようです。

日本は生命を維持する医療はトップクラスでも、安心して死を迎えるための医療は大きく立ち遅れている状態です。

命が続く限り重視されるのは生活の質の向上であり、日常生活であり終えない痛みを除去してあげることと認識するべきといえます。