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高齢化社会がもたらす問題|介護施設に入居したくてもできない人は今後増加?

2020.10.20
分類:その他

高齢化社会となり、親の介護を誰がどうやって行うのか決めなければならないときが来ている家庭も少なくありません。

介護施設に入居してもらうのか、それとも在宅ケアなど活用しながらこれまでどおり家庭で生活してもらうのか、本人の意向や希望だけでなく、介護を行う家族の状況や生活環境なども踏まえて考えていくことが必要です。

親にとっても家族にとってもベストな選択となるためにも、高齢化社会により今後、介護をめぐって起きる可能性のある問題について把握しておきましょう。

介護を取り巻く問題として挙げられるのが介護難民

介護難民とは、介護を必要とするため要介護認定を受けているのに、介護施設などに入居できず家庭でも適切な介護サービスを受けることのできない65歳以上の高齢者のことを指した言葉です。

介護難民は決して他人事ではなく、誰にでも起きる可能性のある問題としてとらえておくべきでしょう。

2025年には全国約43万人が介護難民になると予測されたこともあるほどですが、その理由として日本の総人口は減少傾向にあるのに対し、65歳以上の高齢者は年々増加していることが挙げられます。

今後も高齢化社会が進んでいくことは確実とされており、2025年には人口の約3割、2060年になると約4割が65歳以上の高齢者が占めるとされているほどです。

高齢者は増えても対応するスタッフは足りない

高齢者が増加すれば要支援・要介護の認定を受け、介護を必要とする人の数も増えます。しかし介護施設などで働き、介護サービスを提供する介護スタッフは不足している状況です。

若い世代に人気がない業界であることに加え、そもそも現役として活躍する世代も減少していることから、どのように人材を確保するかが大きな問題となっている状況といえます。

介護難民の問題を解決するために

介護難民を増やさないために、国も「地域包括ケアシステム」など地域密着型で高齢者をケアする考え方を打ち出し、地方自治体の「地域包括支援センター」が中心になり運営するといった取り組みも行っています。

そして高齢者本人や家族が、年齢を重ねてもできることは自分で行うなど、日常において家事を担当したり体を動かしたり要介護者になるリスクを減らす努力が必要です。

その上で介護が必要になったときのことを考え、事前の準備を行っておきましょう。

在宅ケアを活用し自宅で生活を続けるのなら、介護の役割分担を考えておくことや家をバリアフリー化するなど、対策を講じておくことでいざというときに慌てなくて済みます。

 

介護を取り巻くもう1つの問題が老老介護・認認介護

老老介護とは、65歳以上の高齢者が65歳以上の高齢者の介護を行うことです。高齢の夫婦同士や高齢の兄弟姉妹間、高齢の子が高齢の親の介護を行うといったことを指しています。

認認介護は介護する側とされる側、どちらも認知症を発症している状況のことです。

老老介護や認認介護などの問題が起きてしまうのは、医療の進歩で日本人の平均寿命が延び、夫婦同士や親子が高齢であるケースが増えたことです。

平均寿命は延びても、健康で活動的に生活できる期間を示す健康寿命は延びていません。この2つの差が大きくなったことで、身体的機能の衰えや認知症を発症リスクも高くなり老老介護や認認介護が増える結果となりました。

どちらも介護する側とされる側、双方に事故やケガのリスクが高い状況を作ってしまいがちなので、自分たちだけで対応しようとせずに介護サービスなどを積極的に活用することが求められます。