現在、介護施設は地域に密着した形で運営され、きめ細やかなケアを可能とするユニットケアなどが導入されるようになりました。
住み慣れた地域で、これまでと変わらず自分らしい生活を送ることができるように、安心して介護ケアを利用できる体制が整備されるようになっています。
しかし現在の介護ケアに至るまで、昭和や平成という時代を経て、今があるといえます。
そこで、まず昭和時代の介護施設はどのようなケアを行っていたのがご説明します。
昭和40年代には、ねたきりの高齢者が増えたことが社会問題となった時代です。脳卒中など医療対策と介護問題が浮き彫りとなり、昭和45年には高齢化率7%の高齢化社会が到来します。
ねたきりの高齢者に介護ケアを提供するための特別養護老人ホームなどを緊急的に整備することの必要性が示され、国民生活水準の向上や高齢者福祉思想やニーズ変化に対応し、老人ホームを収容の場ではなく生活の場に転換させることが必要とされました。
ただ、施設にねかせきりという介護を問題視する声もあがり、寝食分離や離床を促進するといった動きもみられています。
排泄介護では、それまで定時でオムツ交換していた形から、随時交換やおむつはずしという形に変更されました。
食事介護では、利用者の要介護状態に応じてケア方法や調理・献立・食事時間などが改善され、バイキング方式なども導入されるようになったともされています。
入浴介護では自立度の高い利用者を対象に、夜間入浴が行われるようになったのもこの時代です。
昭和50年代になると、老人福祉法の老人医療費と老人健康診査部分が新たに制定された老人保健法に移行されました。老人保健法により、新たに創設されたのが老人保健事業です。
そして昭和60年代になり、社会福祉士・介護福祉士法により制度化された有資格の専門職によって、介護がサービスとして提供される体制に転換したといえます。
認知症ケアの脱施設化や、大規模収容型ではなくユニットケアなどがグループホームなどで取り入れられるようになったのもこの頃です。
今後、高齢者が住み慣れた地域で最期まで生活するための介護や医療整備が重要となります。
中でも地域密着型特養や地域サポート型特養は、団塊世代が75歳を迎える2025年に向けた取り組みであり、介護の拠点として様々な機能を発揮することになるでしょう。