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介護事業者が預かっている身寄りのない方が亡くなり相続が発生した場合の対応方法とは

2021.05.05
分類:その他
介護事業者の中には、身寄りのない利用者を預かっていることもあるでしょう。しかしその利用者が亡くなって相続が発生したとき、どのような対応が必要となるのか把握しておく必要があります。

介護施設で暮らす身寄りのない方が亡くなった場合の対処方法

介護施設で生活する身寄りのない利用者が亡くなったときには、身元引受人がいないため次の3点を検討しなければなりません。

・ご遺体の引き取りや火葬・埋葬を誰が行うのか

・未払いの施設利用料はどうやって回収するか

・遺留品はどのように処分すればよいか

身寄りはなくても成年後見人などが就いているケースもあるため、その場合には成年後見人が身元引受人と同じく上記について対応を行うことで解決します。

そこでまずは、成年後見人などが就いているか確認が必要ですが、ここでは成年後見人がいないケースをご説明していきます。

遺体の引き取りと火葬や埋葬の依頼先は?

身寄りのない方が亡くなり、相続人もわからないまたは存在しないケースでは、ご遺体や遺骨を誰に引き渡せばよいのか迷うことになるでしょう。

墓地・埋葬などに関する法律によると、死体の埋葬や火葬を行う者がないときや判明しないときには、死亡地の市町村長が行うとされています。

その費用は原則、亡くなった方の遺留の金品などを充て、不足分は市町村が負担します。

相続人や身寄りがある方の場合でも、ご遺体の引き取りを拒むケースでは上記と同じ扱いになります。

施設の利用料の未払い分の請求先は?

相続人がいないケースや相続人が不明な場合には、成年後見人などが就いていれば相続財産に属する債務の弁済として支払ってもらえる場合もあります。

しかし相続人が不存在や不明なケースでは、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てを行います。

選任された相続財産管理人に対し、未払いとなっている利用料を申し出てて、回収することになるでしょう。

ここで問題となるのは、相続財産管理人の選任には原則、申立人が裁判所に予納金を納めなければなりません。予納金は本人の財産や未払利用料などの兼ね合いで検討していくこととなります。

遺留品の処分方法

遺留品は相続人に相続されますので、原則として相続人に引き継ぎます。相続人がいない場合でも、施設が勝手に処分することはできず、相続財産管理人に対し遺留品を引き継ぐことが必要です。

引き継ぐまでの間は適切に管理することが必要ですので、紛失や毀損することのないようにしてください。

相続財産管理人が選任後に相続人が存在しなかった場合、特別縁故者が財産分与を受けることができる制度もあります。

報酬を受け取り療養・看護を行っていた看護師にも財産分与が認められた判例が過去にはありますが、一般的な特別縁故者として認められるのは亡くなった方と生計を同じくしていた方や密接な関係があった方などです。