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介護事業者が高齢者の成年後見人に選任されたときは財産管理も必要?

2021.06.20
分類:その他

介護事業者は、介護施設の利用者の判断能力が低下していることで、財産管理などを行う政権後見人として選任されることもあるでしょう。

そこで、具体的に成年後見制度とはどのような制度なのか、その内容をご説明します。

成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症に他、知的障害や精神障害などにより自分で判断することが難しい方の権利を守るための制度です。

2000年4月に介護保険制度が始まり、利用者は事業者と契約を結び介護サービスを受けることが可能となりました。

それと同時に、判断能力が十分でない状態のため、事業者と契約できない場合に支援する成年後見制度もスタートしています。

 

成年後見制度の種類

成年後見制度には大きく2つの種類があり、まず本人の判断能力が衰えるよりも前に判断能力が不足したときに備える任意後見制度、そして既に判断能力が十分でない方に対し家庭裁判所が後見人を選任し支える法定後見制度があります。

任意後見制度

自分に判断能力がある間に、自らが決めた代理人に財産や身上監護などの代理権を与える委任契約を公正証書で作成するのが任意後見制度です。

将来型・即効型・移行型という3つの類型があり、多く利用されているのは移行型といえます。

移行型の場合、見守りや財産管理などの委任契約と任意後見契約を行いますが、判断能力が低下しても任意代理契約での財産管理は継続され、任意後見監督人の専任の申立てはされません。

法定後見制度

既に判断能力が十分でない方を対象とするのが法定後見制度です。今の成年後見制度の利用の多くはこの法定後見制度といえます。

判断能力の状態が重い順に、後見・保佐・補助という3つの類型に分かれます。

本人の住所地の家庭裁判所に対し、後見開始の審判など申し立てを行うことで法定後見制度の利用が可能です。

 

成年後見人が行わなければならないこと

成年後見人は、保護・支援の必要性や事情などに応じ、家庭裁判所が選任します。

本人の親族だけでなく、法律や福祉の専門家、福祉関係の公益法人などから選ばれることもあり、複数選ぶことも可能です。

成年後見人が行うことは、財産管理・身上監護・家庭裁判所への報告です。具体的には次のようなことを業務として行うことが必要になります。

財産管理

銀行など金融機関との取引

日常的な生活費を送金する

日用品を購入する

年金や土地・貸家などの賃料収入がある場合はその管理

不動産を含む財産の管理・保存・処分など

身上監護

介護保険などの利用契約やその管理

要介護認定の手続き

施設入所契約などの手続き

医療サービス契約や入院に関しての手続き

住居を確保するための不動産購入や貸借など