デイサービスなど通所介護事業者は、介護を必要とする方が介護施設に通って入浴やリハビリなどのサービスを提供するため、在宅介護中の利用者に人気があります。
ただ、デイサービスを利用する方が増えたことで民間企業が多く参入するにようになり、市町村の管理下に置かれる小規模な通所介護施設も増えています。
市町村がデイサービスを指定・監督すると、これまで問題視されていた保険料・施設数・認定率・サービス内容などの地域格差がさらに拡大されることが懸念されますが実際どうなのでしょうか。
小規模型の事業所が地域密着型へと移行し、地域連携や運営の透明性を目指すことは悪いことではありません。
ただ、デイサービスなどの利用者は全国で1か月間約160万人に及び、今後はさらに増加することが予想されます。
本来のデイサービスは介護保険が適用されるため、そのコストは税金から賄われます。介護保険料も地域ごとに差が出ており、市町村ごとの介護保険料基準額を見ても最も安い自治体と高い自治体では倍以上の差が生まれています。
自治体の総人口に対する若年層の人数や、介護サービスの提供量などが介護保険料に差を発生させているといえますし、高齢者の割合が多いエリアであれば介護サービス提供量も増えるため保険料は高くなってしまいます。
山間部や過疎地域など比較的基準額が安めに設定されるエリアとなっていますが、これは高齢者の割合が多いのに介護サービスを提供できる施設が少ないからと考えられます。
デイサービスの利用者が増えたことで民間企業が新たに参入するようになり、小規模型事業所の乱立も目立つ中で夜間に介護保険を適用しない「お泊りデイサービス」を提供する事業者も増えています。
実際、要介護・要支援の認定率も自治体ごとで地域格差が出ています。認定率が高い県と最も低い県が出てしまうのは、それぞれの場所で要介護状態になる前の予防介護への取り組みが異なること、社会参加状況などにも開きがあることが関係していると考えられています。
地域ごとに自治体の姿勢や社会的事情が異なるため、要介護・要支援の認定率にまで地域格差を生み出してしまうのです。
介護サービスの関連する地域格差は、現状の制度ではどうしても発生してしまうと考えられます。地域格差をできるだけ小さくし、負担する費用や提供されるサービスが平等になることが望まれるといえるでしょう。