介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

介護は自助・互助・共助・公助という4つの役割で考えることが必要

2019.11.09
分類:その他

介護保険制度は、高齢者を社会全体で支える仕組みを構築するための制度として創設されました。

しかし単独の制度では少子高齢化が進む社会の状況、そして財政状況などから困難であると判断され、自助・互助・共助・公助という4方面からの支援で支えて行くことが必要という考えに変わってきています。

これら4つの役割をもつ支援が地域包括ケアシステムで、高齢者が尊厳を保持しながら自立した生活を営む支援を行うことを目的としています。

可能な限り、これまでどおり住み慣れた地域で生活を続け、支援を受けることができる体制づくりを目指したシステムです。

地域包括ケアシステムは介護保険制度に代わることができる?

地域包括ケアシステムには、住まい、生活支援や福祉のサービス、介護、医療、予防という5つの要素があり、相互に連携しながら高齢者が在宅で生活を続けることを支える仕組みです。

自助・互助・共助・公助はこの順番で選択が優先されるとされており、共助に該当する介護保険制度は3番目の順位です。

地域包括ケアシステムは支援への取り組みを包括しながら継続して行うことを目指し、介護保険制度は支援を提供する事業などを活用しながら、日常生活のケアを行うという形でしょう。

ただ、自助、互助に次いで3番目に選択する順位になる制度として位置づけられてしまっています。

そのように考えると、地域包括ケアシステムは介護保険制度に代わる支援システムになるともいえますが、残念ながらそこまで期待できないのが現状です。

 

地域包括ケアシステムは期待できない?

複数の疾患を抱えていることの多い75歳以上の高齢者などが安心して暮らすには、医療と看護、介護というサービスが連携することが必要です。

しかし今の在宅サービスでは、夜間や早朝という時間帯での対応が十分ではありません。

また、地域によって特性や実情が異なるので、介護体制にも地域格差があるといわざるをえないでしょう。

 

支援サービスへのニーズは今後も高まることが予想される

ただ、認知症の方や単身の高齢世帯などが今後は増えていくことが予想されますので、ますます医療や介護、そして日常的な配食や見守りといった生活支援を必要とする方は増加すると考えられます。

そのため、行政サービスだけでなく、民間企業などの多様な事業体なども支援体制を構築することが求められるでしょう。

また、高齢者が社会参加しやすい場所の設置など、社会で独立せず生きがいを持ち続けた生活を送ることができる環境の整備も必要です。

自分らしい生活を住み慣れた場所で続けるために、どこまでその体制を構築できるのかが大きなポイントとなってきます。