認知症とは何かの病気により起きる症状や状態の総称であり、単なるもの忘れとは異なります。
誰でも年を重ねていけばだんだんともの覚えが悪くなり、すぐに人や物の名前を思い出せなくなることはありますが、それは脳が老化してしまうことによる「もの忘れ」です。
しかし「認知症」は、脳が老化することによるもの忘れとはまったく異なり、脳の神経細胞が何かの病気などをきっかけに壊れてしまうことによる症状や状態のことです。
進行すれば理解や判断する能力が低下し、日常生活にも支障をきたすようになることが特徴といえます。
認知症の症状には、脳の働きが低下することで起きる症状と、環境や体験などであらわれる症状があります。
脳の働きが低下することで見られる症状としては、たとえば夕食に何を食べたかだけでなく、食べたこと自体を思いだせなかったり、外出先で会った方の名前が思い出せないのではなく、会ったこと自体記憶が抜けてしまったりします。
日付や場所などがわからなくなり、段取りに従い行動することも難しくなってしまうといった症状が見られます。
環境や体験などによる症状としては、徘徊や、幻覚や妄想、過食・拒食といった行動が見られますが、環境が変わってしまうことや治療に対する恐怖や不安が引き起こすきっかけとなることが多いようです。
家族にとっては先が見えない介護となり、認知症になる前の思い出や光景などが胸をよぎり苦しくなることも多いようです。そのため、本人だけでなく家族の気持ちにもよりそう形で介護を行うことが必要となります。
認知症の方が何度いってもやってはいけないことを繰り返し行ったときに、大きな声で怒鳴ったりすることは避けましょう。
なぜ怒鳴られているのか理由がわからず、不安が大きくなればパニックを起こす可能性もあります。介護の拒否や暴言を吐くこと、頭ごなしにしかりつけるといった相手を否定する言動はタブーと理解しておきましょう。
認知症の方がいろいろな失敗をしても、責めるのではなくやさしく声をかけてあげてください。
また、突然背後から声をかけたり、肩を叩いて呼んだりすると、精神状態が不安定なので驚いて転倒してしまうこともあるので注意が必要です。