介護保険制度の指定事業者は、法令の規定に基づいた適切な事業運営が必要です。
介護事業者が把握しておかなければならない法令として、「介護保険法」がありますが、具体的にどのような内容なのかご説明します。
介護保険法とは、介護や支援を必要とする方へ、介護にかかる費用の一部が給付する制度です。
被保険者となるのは40歳以上のすべての方で、要介護・要支援の認定に応じて、定められた負担割合で介護サービスや支援サービスの利用が可能となります。
介護保険法は2000年に施行され、そこから3年ごとに改正が行われています。
介護や支援の必要な方に、介護にかかる費用の一部が給付される制度ですが、介護保険法改正では世代間・世代内の公平性確保と介護保険制度の持続可能性などを加味し、高所得層の負担割合を3割へと引き上げています。
さらに高齢者と障がいを持つ方が同一事業所でいろいろなサービスを利用しやすくするために、介護保険と障害福祉の双方の制度に共生型サービスが新設されています。
平成30年度の介護保険法改正では、4つのポイントを押さえておくことが必要となりますが、それぞれの内容は以下のとおりです。
・介護納付金における総報酬割の導入
改正前は、医療保険者が納める介護納付金は、医療保険に加入する第2号被保険者の人数で決めていました。
しかし改正されてからは、介護納付金の総報酬割が導入され、40~64歳の被保険者負担が収入に応じ設定されています。
・自己負担額は最大3割まで
改正前までは、介護サービス利用料の自己負担額は、所得に応じ1割または2割の負担でした。
しかし改正されてからは、現役並み所得相当など、所得の高い層の負担割合は3割へ引き上げされています。
・福祉用具のレンタル価格の適正化
改正前までは、福祉用具のレンタル事業者が貸出価格を自由に決めることができました。
しかし改正後は、商品ごとの全国平均貸与価格を公表し、貸与価格の上限を設定すること、事業所は機能・価格の異なる複数商品の提示義務化といった対策が講じられています。
・共生型サービスの創設
改正前までは、高齢者は介護保険事業所、障がいを持つ方は障がい福祉サービス事業所など、それぞれの事業所でサービスを利用する必要がありました。
しかし改正後は、介護保険事業所と障がい福祉サービス事業所などが共生型サービス事業所となり、双方にサービスを提供することが可能となっています。
が同一の事業所で必要なサービスを利用できることは大きなメリットといえるでしょう。