介護事業者は、利用者の介護の際にどのような声かけや話し方をしているでしょう。
利用者によって注意が必要なこともあれば、対応を変えることも必要です。
そこで、介護の声かけと話し方の基本についてご説明します。
利用者によっては、視覚・聴覚に障がいがある方もいれば、認知症の方もいるため対応方法は異なります。
そこで、声をかけるときには相手の特性を捉え、互いに理解し合える方法を取るようにしましょう。
認知症は脳の委縮などによる記憶障害が原因と考えられているため、話しかけてくる相手が誰なのか認識できないこともあります。
そのため突然大声で声をかけると驚かせてしまい、不安感に包まれることになるため、安心できる声かけが基本です。
笑顔でゆっくりとした口調で問いかけるように声をかけ、不安な気持ちに寄り添うようにしましょう。
ときには安心してもらうために、手を握ったりさすったりなど、言葉以外のスキンシップも取り入れることが必要です。
視覚に障がいがある方の場合、情報の受け取りは言葉を頼りにするため、目で相手の存在を確認できない方の場合には突然声をかけると驚かせることになります。
まずは正面から気配を感じとってもらい、ゆっくり声をかけましょう。
そして「あれ」や「それ」といった指示語を使わず、固有名詞を使って具体的な言葉で必要なことを説明することが大切です。
電話は会社の顔と言われることもあるため、電話応対によって介護事業所の印象が決まります。
話す内容ばかりにとらわれず、話し方にも注意しながら対応していきましょう。
言葉のトーンを意識し、たとえ相手には見えなくても表情が伝わるような話し方が望ましいといえます。
言葉は発すればよいのではなく、音の強弱・短長・高揚が伴っていなければ、相手に気持ちは通じません。
さらに発する言葉と表情や声の強さが一致しなければ、感情が正しく伝わらなくなるでしょう。
たとえば介護事業所の利用を希望して問い合わせの電話を掛けてくる方は、優しい介護職員の方が多い施設がよいと考えるものです。
そっけない対応を電話口でされれば、その介護事業所を利用することはなくなります。
介護現場に介護用ロボットなどが導入されるようになっても、心のこもった言葉をかけることができるのは、人だけなのです。