介護サービスを利用する要介護者の料金は、1割をサービス利用者が負担し、残りは40歳以上の方が納める介護保険料と税金で半分ずつ賄われます。
介護保険料は3年に1度改定され、年々負担は大きくなっていますが、介護事業者はこの負担の地域格差と老人数に注目するべきです。
なぜ介護保険料負担に地域格差があるのか、老人数とどのような関係があるのか説明します。
厚生労働省によると、2021年度から2023年度に65歳以上の高齢者が負担する介護保険料の月額は、全国平均で6,014円になっています。
介護保険制度がスタートした2000~2002年度の全国平均月額は2,911円だったことを考えると、約20年で倍以上負担が増えてしまいました。
近年は増加の幅も大きくなり、今後はさらに老人数が増えるため、より負担が増すと考えられるでしょう。
介護保険料は全国1,571の自治体と広域連合が見直しを行っていますが、改定により48.6%が引き上げられ、36.2%は据え置きされています。
引き下げになったのはたったの15.2%ですが、自治体ごとの改定なので負担には地域格差が生じているといえるでしょう。
負担が最も大きいのは東京都青ヶ島村で、平均月9,800円です。その次が秋田県五城目町の8,300円、福島県葛尾村8,200円となっています。
負担が最も低いのは北海道音威子府村と群馬県草津町で月3,300円、東京都小笠原村の月3,374円と、負担が大きい地域と低い地域では最大6,500円の差が発生しています。
介護保険料の負担が軽いほうが住みやすいと感じる方も少なくないため、介護保険料の地域格差が問題視されているといえるでしょう。
介護保険料は、「自治体の介護サービス費用÷自治体に住む老人数」で決まります。
さらに自治体が介護施設に費用をかけていたり公的な施設などを設けていたりすれば、介護保険料にその負担が上乗せされます。
老人数が多いから介護保険料が安くなるわけではなく、要介護度が最重度になればサービス利用負担も大きくなるため、介護状態が重い地域では介護保険料は高くなります。
ただ介護サービスの基盤整備が十分でない自治体の場合、経過措置として介護保険料を安くすることも認められているため、単純に老人数や介護レベルだけで決まるとも考えにくいでしょう。
介護保険料は65歳以上の高齢者も負担しており、年金から天引きされます。
今後も値上がりが続くなら、年金額が多くない高齢者の負担も重くなると考えられますが、サービスの利用条件を厳しくするといったことは避けたいものです。