介護事業者の中には、宗教法人と学校は無関係と考える方もいるでしょうが、じつは宗教法人が学校運営母体になっているケースもあります。
そもそも宗教法人とは、教義をひろめ儀式行事を行い、信者を教化・育成することを目的とした団体であり、都道府県知事または文部科学大臣の認証を経て法人格を取得した宗教団体を指しています。
宗教法人といっても神社・寺院・教会など、礼拝施設のある単位宗教法人もあれば、宗派・教派・教団など神社・寺院・教会などを傘下にした包括宗教法人に分かれます。
さらに単位宗教法人で包括宗教法人の傘下にある場合には被包括宗教法人、傘下になければ単立宗教法人となるなど、種類がいくつかあることが特徴です。
宗教法人を運営母体とする幼稚園や介護施設なども存在しますが、宗教法人と学校もつながりが見られるケースもあります。
学校教育を行いやすい団体には、主に次のような特徴があると考えられるでしょう。
・いろいろな社会活動や精神活動、肉体活動など自由な活動ができること
・学校教育を政治・経済を目的とした手段とされないこと
・教育内容として挙げられる学問・技術・文化・芸術・思想などについて、憲法で保証されている精神の自由を保証されること
・団体の組織を構成する方法や運営方法、人事について外部から制約されないこと
・施設・設備にかける資本を蓄積しやすく、これらを拡充するときに課税されないこと
・非営利であり社会的な信用を得やすいこと
・補助金や寄付を受けやすいこと。
・比較的設立が容易であること
学校運営を行いやすい団体の特徴から、宗教法人も学校教育の事業を運営しやすいと考えられます。宗教法人だけでなく、福祉法人や医療法人など公益法人は社会的な信用を得やすく、学校を運営しやすいといえるでしょう。
しかし公益法人は一般的に設置が容易ではありません。ただ、宗教法人では洗脳されてしまうのでは?といった不安を抱えるケースもありますが、公益法人が学校を設置することとは違った意味でとらえるべきでしょう。
宗教法人の場合でも、現在はキリスト系や仏教系の学校がありますが、生徒の学力も高く学びにも積極的で部活動も熱心に行われています。
宗教法人が運営母体の学校や施設などでも、常に宗教活動を行っているわけではなく、必要なサービスは適切またはそれ以上に提供されていることが多いようです。