介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

介護事業者の基礎知識|社会医療法人とはどのような法人格か

2022.01.12
分類:その他

介護事業者は様々な業界の中でも社会的な貢献度の高い事業を営んでいるといえますが、医療を提供する事業も同じといえます。

とくに社会医療法人は、医療提供体制を都道府県・市町村・公的病院の機能を代替し、公的医療機関と並ぶ救急医療・災害時における医療・へき地の医療・周産期医療・小児医療の5事業を担う地域医療支援病院の開設主体として位置づけられています。

公益性の高い医療活動とは

従来までの公益性の高い医療は、自治体病院などが中心となっていましたが、医師の偏在や長期的な高コスト体質などの影響により赤字が続き、医療基盤が崩壊しかけているのが現状です。

そのため自治体病院などに依存した医療維持が難しくなったことから、医療のあり方自体を見直さなければならなくなったといえます。

公益性の高い医療活動として挙げられるのは、

・休日診療・夜間診療など救急医療

・周産期医療などを含む小児救急医療

・へき地・離島医療

・重症難病患者に対する継続した医療

・感染症患者に対する医療

・筋萎縮性側索硬化症(ALS)など継続して在宅医療が必要となる方に対する医療と、その療養環境向上に向けた活動

・災害医療

・精神救急医療

・心神喪失などで重大な加害行為を犯した者に対する医療指定医療機関が実施する医療

・患者が早期に社会復帰するための医療連携

・先進的な医療安全や疾病予防・患者や地域の医療機関に対する無償の相談助言と普及啓発活動

・質の高い医療従事者を確保・育成するための活動

・高度な医療技術を利用する研究開発・研究結果情報を地域医療に無償で提供する活動

・治療と有機的連携した治験活動

などです。

 

社会医療法人の特徴

自治体病院に代わり、医療法人のノウハウを活かした公益性の高い医療法人として創設された法人格が「社会医療法人」です。

社会医療法人とは、

・公益性の高い医療を担当する

・指定管理者制度の有力候補として新医療計画などの支援を受けることができる

・重要事項の決定については外部の専門家を含め評議会で行われる

・財務監査が義務化される

・社会医療法人債(公募債)を発行することができる

・役員の給与制限・自己資本比率・理事長要件などの緩和

といった特徴があります。

 

社会医療法人のメリット

社会医療法人は公益性が高い医療を提供することになるため、税制上の優遇措置などメリットがあります。

そのためには高い要件を満たすことが必要ですが、認められれば通常の医療法人で取り組むことが難しい収益業務も可能となるため、従来までであれば着手できなかった領域に進出することが可能となるでしょう。