大型病院を運営している医療法人が、介護事業者として介護施設も併設していることはめずらしいことではありません。
利用者の中には大型病院に併設されている有料老人ホームと、民間企業の一般的な有料老人ホームのどちらを選ぶべきか迷うこともあるようですが、どのような違いがあるのか説明していきます。
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの経営に目を向ける医療法人も増えつつあるといえますが、大型病院に併設されているため医療連携が整備されたり入院時にベッドを確保してもらいやすかったりといったメリットがあります。
介護ケア以外に、医療で手厚いサポートを受けることができることが特徴といえるでしょう。
介護だけでなく、定期健康診断・医療相談・慢性疾患管理・緊急のときの対応など、医療経験が豊富なスタッフからサポートしてもらえることは大きな安心感につながります。
機能訓練や提供する食事の内容なども、医療ケアが充実している特徴を活かしているケースもありますが、入居一時金や月額利用料金などはやや高めになる傾向が見られます。
たとえば介護付き有料老人ホームの場合には、協力医と連携が義務付けられているため、施設を運営している母体が医療法人でなくても医療ケアに不安を抱えることはそれほどありません。
また、介護事業者が独自のサービスとして、日中に看護師を常駐させていることや協力医の指導によるリハビリを行っているケースもあります。
住宅型有料老人ホームの中にも協力医と連携強化するケースもあり、利用者の体調が急変したときにもスムーズに対応できるようにしているようです。
高齢者が増えていることで、病院で治療を終えた後の入院期間は短縮傾向にあるといえますが、すぐに在宅に戻ることができずに老人ホームに転居するケースも少なくありません。
そのため老人ホームでは、利用者のたん吸引やインスリン注射などの医療ケアに対応できたほうがよいといえますが、医療的ケアに対応するには看護師の勤務体制や医療連携が整備されていることが必要です。
そのように考えると、大型病院に併設されている介護施設や老人ホームのほうが、スムーズな医療連携体制が取られやすくメリットがあると考えられるでしょう。
ただ、医療法人が運営の老人ホーム自体がそれほど多くなく、利用者は医療依存度の高い方が多いので希望しても必ず入所できるとは限らないことがデメリットです。