介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

介護事業者が理解しておきたい首都圏や都市部で増えるとされる介護難民問題とは

2022.01.24
分類:その他

介護を受けたいのに受けることができない家族や親族のことが心配な方や、この先自分が護を受けたいときに受けることはできるのかなど、介護事業者は人々が抱える介護に対する不安を理解する必要がありますが、特に首都圏は深刻といわれています。

首都圏で今後大きな問題となることが懸念されているのが介護難民ですが、具体的にどのようなことを意味するのか解説していきます。

首都圏で問題になるとされている介護難民とは

介護難民とは、介護サービスを受けたくても受けることができずに困ってしまう状態になる方のことで、病院や介護施設で受け入れてもらえないといった状態を指しています。

2025年には人口の多い団塊の世代が75歳以上となり、今後さらに介護を必要とする方が増えることが予想されます。

研究機関である日本創生会議が公表している情報によると、2025年で都心部の介護難民は約13万人になるともいわれています。

日本の高齢化率は年々高くなっているのに対し介護職に就く人材は増えておらず、介護を必要とする方が今後増えるのに対し、介護現場で働く方は不足したままなので適切にサービスを提供できない状態を深刻化させると考えられるでしょう。

独居高齢者世帯や高齢者夫婦だけの世帯は増え、在宅で高齢者が高齢者を介護する「老老介護」や、認知症の方が認知症の方を介護する「認認介護」も増えていくと予想されます。

入所する費用を安く抑えることができる特別養護老人ホームなどの介護施設では、入居を希望し入所待ちの状態の要介護者が数十万人単位います。

要介護レベルや入所の必要性に応じて入所できる順番が決まるため、先に申し込みしたからといって空きが出れば入所できるわけでもありません。

そのような理由から、今後、介護難民は増えていくと考えられています。

 

介護難民は首都圏・都市部に多くなる理由

介護難民が増加する理由として、

・要介護・要支援認定者数の増加

・介護施設と現場で働く人材の不足

などが挙げられます。

特に首都圏、東京や大阪などの都市部の場合、19601970年代の高度成長期に職を求めて移り住んだ方がたちの多くが高齢世代になっています。

そのため東京周辺に高齢者世代が集中しており、若い世代の介護職の方が不足していることを考えれば、大量の介護難民が発生するリスクが高いといえるでしょう。

東京は土地を確保することが困難なため、東京周辺の県には介護施設がつくられていますが、東京周辺の県でも高齢者人口は増えているため東京から高齢者を受け入れることは難しくなるはずです。

地方都市では高齢者を受け入れる余裕のある介護施設も多いといわれており、首都圏や都市部との違いが問題視されているといえます。