訪問介護が行う生活援助サービスとは、身体介護以外の訪問介護であると厚生労働省が認めているサービスです。
掃除や洗濯、調理といった日常生活を快適に送るための援助のことで、たとえば利用者が単身であったり、世話をしてくれるはずの家族が疾患や障害などで誰も家事を行うことができなかったりという場合に利用できるサービスであり、本人の代行的なサービスとした位置づけとなっています。
本人が自分でできない日常生活における様々な行為を代行するとなれば、家政婦サービスなどで利用できる家事代行サービスと何が違うのか?と思うかもしれませんが明確な違いがあります。
介護ヘルパーなどは、掃除や洗濯などだけでなく、それらを行いながら生活状況を確認・把握したり、調理の合間にも利用者本人の心身の状態を把握したりと、様々な視点でサービスを提供しています。
単に家事を代行しているだけではないので、家政婦サービスで代替できるものではないと考えられるでしょう。
さらに訪問介護の場合、利用者本人が持つ能力を活かし、引き出すようなサポートも求められるものですが、法改正のたびに提供する時間も削られ、効率的なサービスを短時間で提供することが求められるようになっています。
そのため、本来の目的でもあった利用者本人の能力を活用することや、引き出すといった余裕もなく、生活に必要な支援を行うことが多くなり、まるで家事代行サービスのようだと感じられるようになっているともいえるでしょう。
軽度要介護者の生活援助の切り離しも検討されていますが、制度改正では見送りになっています。
ただ、生活援助サービスが在宅ですごす要介護者に必要なものならば、単に切り離しては在宅での生活を維持することはできないと訴え続けるだけでなく、そこから重度化することを防ぐために生活援助サービスが貢献できていることを示すことが必要といえるでしょう。
目に見えて貢献できていることを証明できれば、軽度要介護者にも必要なサービスなのだと認識してもらうことが可能となるはずです。
ただ、そのような効果を示すことは介護の仕事ではとても難しいことですが、どうすればエビデンスを残すことができるのか考え、実践していくことが今の介護業界では必要となると考えられるでしょう。
少しずつ下げられていくサービスと報酬をそのまま受け入れなければならない現状から抜け出すためにも、介護業界が一体となり考えていくべき課題なのです。