介護現場で生産性を向上させるためにも、不足する人材を確保していくことが必要ですが、地域によって介護を必要とする高齢者の数にも格差があります。
そのため今後は、本格的に取り組んでいかなければならない課題として、介護認定率や給付額の地域格差を縮減することが必要です。
介護予防の取り組みを進めていきながら、地域ごとの供給体制・サービス水準などが保険料を負担している被保険者と見合うか確認し、不足する部分は変えていくことが必要といえます。
実際、都道府県ごとで要介護や要支援の認定率は、地域格差といえるような結果になっています。
2020年3月の全国紙でも、介護保険サービスを利用するための要介護度の認定については、市区町村によってバラツキがあると報道されていました。
その背景として、ほとんどの市区町村がコンピュータによる一次判定を独自基準で変えていることが関係していると考えられます。
変更の基準も明文化されておらず、一次判定をクリアした場合でも、二次判定を実施する介護認定審査会も基準を公開していないため、どうすれば認定を受けることができるかがわかりにくいといえるでしょう。
厚生労働省は2007年度から、「要介護認定適正化事業」を開始しています。
介護認定審査会の審査判定は不適切な独自運用が見られたことなどで、介護認定審査会に厚生労働省の「認定適正化専門員」が同席することとなっています。
ただ、認定調査員や介護認定審査会委員の研修なども強化されてはいるものの、市区町村による基準のバラツキは解消できておらず、地域格差を発生させている状況です。
介護認定審査会では、どのような勘案により要介護度の判定が変更されているのか明確にするべきだといえます。
65歳以上の就業率が高い地域では要支援認定率は低めですが、65歳以上で単身世帯率が高い地域では要支援認定率は高いという傾向が見られます。
過疎化が進んでいる地方のほうが認定率は高くなっている反面、リタイアした後も働いている方の多い都心部などの認定率は低くなりやすいと判断できるでしょう。
認定率が低い地域では、介護予防への取り組みも積極的に行われているため、今後はどのような取り組みがされていくのか気にしておくことが必要といえます。