政府は2021年12月に介護職員の賃上げを正式に決め、いよいよ2022年2月からは1人あたり月額9千円程の交付金が支給されます。
この賃上げが介護業界の人材不足解消にどれほど効果があるかはわかりませんが、具体的にどのような施策となっているのか、予定されている申請スケジュールについて説明します。
介護職員の処遇改善を目的として、2022年2月から賃上げ施策が始まります。
それにより、介護職員1人あたり月9千円程の手当が支給されることになりますが、2022年2月~9月までの支給は全額国費交付金で負担されます。
10月以降は介護報酬に組み込まれることが予定されていますが、実際介護職員の年収は上がるのかという声も聞かれています。
介護職員の賃金が月9千円上がれば、年収換算すると10万8千円アップすることになると考えがちです。
しかし金額分の月収や年収がアップするわけではありません。
介護施設では、介護職員だけでなく、医師や看護師、理学療法士などいろいろな分野の専門職の方も在籍しています。
今回の賃上げの支給対象となるのは介護業務をメインとする介護職員の人数分のみであり、支給額の配分は介護事業者が決めてよいことになっていることから、介護職員以外の職種のスタッフにも配分すれば1人あたりの賃上げ額は少なくなってしまいます。
さらに最低人員配置基準をもとに計算されるため、基準より多い職員が配置されている施設も1人あたりの金額が少なくなると理解しておいてください。
政府の賃上げ施策の対象となる介護職とは、介護職員処遇改善加算のⅠ~Ⅲを算定する介護事業所に勤務している介護職員です。
居宅介護支援・地域包括支援センター・訪問看護・訪問リハビリ・福祉用具貸与などはそもそも加算の対象ではないため、これらの事業所で働いていても賃上げの対象にはなりません。
介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅲの算定事業所は9割を超えるため、ほとんどの介護事業所の対象になると考えられます。
介護職の賃上げ申請スケジュールとして、計画書の提出期限は2022年4月15日が予定されています。
2022年1月段階では、厚生労働省が公表している申請手続などは「案」という扱いですが、今後、詰めの調整を経て正式通知されることになるでしょう。