介護現場で利用者の入浴介助を行うときには、スムーズにケアができるように事前の準備と手順の把握が欠かせません。
利用者に安心して入浴介助を受けてもらえるように、入浴介助に必要な事前準備とその手順について説明していきます。
利用者の入浴介助を始めるよりも前に、まずはケアに必要なものはすべて揃えておきましょう。
事前に準備していないと、介助の途中で必要なものを取りに行かなければならなくなり、その間、利用者を一人で裸のまま待たせてしまうことになります。
浴室内は濡れていて滑りやすく、転倒リスクも高いため、スムーズに入浴介助できる事前準備が大切です。
入浴介助の前に準備しておきたいのは以下のとおりです。
・タオル(広さがあり吸収性の高いものを選ぶ)
・着替え(オムツや尿取りパッドなど必要に応じて準備)
・ボディソープ・石鹸類
・スポンジ・ボディタオル類
・入浴補助用具(シャワーチェア・転倒防止マットなど)
・保湿剤など処方されている軟膏と爪切りなど
・介護者が着用するエプロン(防水・撥水素材のものを選ぶ)
・介護者が着用するゴム製の滑りにくい靴
・介護者が着用する手袋
入浴介助よりも前に、準備として次のことを手順として行っておきましょう。
・利用者の体調チェック
・浴室と脱衣所を適温に温める
・浴槽にお湯をはって必要なものを準備しておく
・利用者のトイレを済ませて脱衣所へ移動する
その上で、次のことに注意しておくようにしてください。
空腹のときに入浴すると、水分不足や血糖値を低下させ、めまいや貧血などのリスクを高めます。
部屋と浴室の温度の差が大きいと、急な室温の変化で血圧が大きく変動してしまい、ショック症状となるヒートショックを引き起こすリスクを高めるため、入浴前に浴室や脱衣所は適温に温めておくようにしましょう。
特に冬場はヒートショックを起こしやすい時期と留意し、小さめの暖房器具を設置することなども必要です。
入浴介助の手順は主に以下のとおりです。
・床や椅子など肌が触れるところにお湯をかけて温める
・足元に注意しながら椅子に座ってもらい、手すりがあればつかまってもらう
・お湯の温度を確認し、声かけしながら本人にも確認してもらう
・適温と確認できた場合、声かけしながら利用者の足元からゆっくりとお湯をかける
・髪→顔→上半身→下半身の順番に丁寧にやさしく洗い、流し残しのないようしっかりすすぐ
・洗い終えたら利用者の体を支えながら、ゆっくりと浴槽に入ってもらう
・5分程度お湯に浸かったら、足元に気をつけながらゆっくり浴槽を出てもらう