認知症の「周辺症状」と呼ばれる症状の1つが「徘徊」であり、家から外に出てあてがあるわけでもなく、歩き回ってしまう行動のことです。
認知症の方が徘徊してしまうと、
・どこに行ったかわからなくなる
・転倒などでケガを負う
・夏場は脱水症状や熱中症で倒れるリスクが大きくなる
・冬場は低体温症をおこすリスクが高くなる
といった危険な状態になると考えられます。
夜間に徘徊する「夜間徘徊」では、介護者の心身の負担も大きくなり、介護疲れなどを引き起こしてしまうリスクを高めてしまうでしょう。
徘徊しないように本人を縛り付けておくわけにもいかないため、その原因と対策を考えておくことが大切です。
認知症の方が徘徊すると、混乱やトラブルを起こすこととなるため社会問題化しています。
知らない間に外を徘徊している認知症の方が、自分で自宅に戻ることができなくなり、警察などに保護されるケースも見られます。
保護されても自分の名前や住所を伝えることができず、行方不明者として施設や医療機関で長期間過ごさなければならないといったケースもあるようです。
そして発見されたときにはケガを負っていることもあれば、亡くなっているという最悪のケースもあるため、認知症の方の徘徊には十分注意してください。
認知症で見られる症状には、
・中核症状
・周辺症状
の2つがあります。
中核症状はすべての認知症の方にあらわれる症状で、たとえば記憶障害や見当識障害などがあてはまりますが、その程度は人によってさまざまで次第に進行することが多いといえます。
周辺症状は本人の性格・体調・生活環境などに関係してあらわれる症状で、抑うつや妄想などがあてはまります。
徘徊も周辺症状の中の1つであり、不安やストレスなどが原因で見られるようになるとされています。
認知症の方が徘徊してしまうのは、
・身体的な原因で徘徊するケース
・心理的な原因で徘徊するケース
の2つが考えられます。
身体的な原因による徘徊は、たとえば「トイレに行きたい」や「何か飲みたい」など、身体的なことを理由として行動するケースです。
この場合、排泄や飲食で気持ちが落ちつく場合もあります。
心理的な原因による徘徊は、心理的ストレスなどが関係します。たとえば夕方から夜などの時間帯になると、そわそわして落ち着かなくなり外出したくなるといったケースです。
認知障害という大元原因に加え、不安や焦燥感などの心理的な要因が加わって徘徊という症状が起きます。
なるべくストレスがかからないように注意し、ストレスを抱えている原因がわかったときには、原因を解消させることで徘徊の症状が改善されることもあります。