近年では全国的に精神疾患診断を受ける方の人数が増えており、外来治療を受ける方もいれば専門の医療機関に入院している方もいます。
介護を必要とする状態でありながら、精神疾患を抱える方も少なくない状況であり、さらに精神科で長期入院していた方が高齢になったときには病院から介護施設への転居を勧められることもあるようです。
しかし、精神疾患であるときには、介護施設選びが重要であり受け入れ先が決まらないといった問題を抱えてしまうことがあります。
そこで、精神疾患の方が介護施設への入所を希望するとき、何に注意して施設選びをすればよいのか解説していきます。
精神疾患で入院している方の疾患で多いのは「総合失調症」で、約15万人程度が入院しているといわれています。
他に「アルツハイマー型認知症」による入院は約5万人程度、「躁うつ病」は約3万人いるといわれていますが、いずれも入院生活が長期化しやすいことが特徴です。
厚生労働省でも長期入院を軽減させる対策を講じており、少ない人数が共同生活を送るグループホームに入所することや、高齢患者の介護施設に入所することなどを進めています。
さらに「地域包括ケアシステム」の仕組みを精神疾患の方が退院した先の生活支援に活用することも目指すなど、様々な取り組みを進めているようです。
地域で生活を送りつつ、必要な医療や福祉のサービスを受けることができる制度や支援を整備することが急務となっているといえます。
厚生労働省が長期入院を軽減させているため、精神科病棟に長期間入院している方が、ある日突然退院を勧められることもあるでしょう。
精神疾患の方が高齢者なら、介護認定を受けて施設へ転居することを勧められることもあるようですが、精神疾患を理由に入居が難航するケースも見られます。
実際、精神疾患の方の入所を認めるかは、介護施設側が判断することとなりますが、多くの方が利用する施設では入所する上での条件が設定されているため、すでに入所している方とのトラブルの可能性があれば断られる可能性も出てくるでしょう。
認知症の方の場合、認知症ケアに特化した施設などに入所できる可能性がありますが、幻覚や幻聴など精神疾患の症状により、次のような行為や行動がみられるときには断られる可能性が高いと考えられます。
・大声を出す
・ものを投げたり壊したりする
・暴力的な発言や行動がみられる
・自傷や他傷のリスクが高い
入所を希望する事業所の人員配置問題や、症状にあわせて内服薬を調整できるかなど、対応が厳しいときには入所を断られる可能性があります。
医療機関でなければ対応できない方は受け入れが難しいくなり、病状などが安定していることを求められると考えておくべきでしょう。