ADL(日常生活動作)とは、介護を必要とする方が他者の力を借りずに独立した生活を送ることが可能かを示す指標として用いられますが、決まった時間に起床し、着替えや整髪、洗顔、食事、排せつ、入浴、外出の際の歩行、移動などです。
若い世代なら当たり前のようにできることでも、年を重ね高齢になればこれらの動作が難しくなることもあり、できたとしても時間がかかるようになりますが、その場合にはADLが低下したと判断されます。
IADL(手段的日常生活動作)とは、同じ日常的な動作だとしても、買い物、電話応対、服薬の管理など、ADLよりも頭を使い判断する能力を求められる動作を指しています。
ADLの評価は評価スケールに基づいて行われますが、多く用いられる評価方法にFIMがあります。
このFIMでは運動項目と認知項目に分類し、それぞれどの程度の介助を必要とするのか、細かく設定された採点基準に基づいて判断する方法です。総合点数が高ければADLが高いと判断され、介護の必要性が低いとみなされます。
過介護はADLを低下させる要因となってしまいますので、適切な介助を把握する上でも大切な指標といえます。
ADLで可能と判断された部分でも、それが無理をすればできるのか、それとも簡単にできることなのか、またはその日の体調によりできたりできなかったりするのかなど、違いもあるでしょう。
また、気づかないうちに症状が悪化していることもあるので、適切なケアを行うにはADLの状況を定期的に判断し直すことが必要です。
そもそも生活の質を向上させるためには、残っている能力を維持し人の手を借りることなく生活できるようにすることです。
ただ、できないことまで無理に要求したり、時間がかかることを急かしたりといったことは本人を傷つけることになりますし、やる気を失い自分で何もしようとしなくなる可能性もあります。
医療や本人の努力だけでADLが低下することを阻止することは難しいので、体が動き自分でできることはなるべく自立して行ってもらうようにすることが必要です。
低下した能力を家族や介護スタッフが支えながら補うことで、ADLを維持しながら質の高い介護を実現させることとなるでしょう。