福祉業界を取り巻くニュースとして注目したい主任ケアマネジャー研修の要件について

居宅介護支援の運営基準において、事業所の管理者は主任ケアマネジャーのみにするという基準の厳格化をめぐる動きについて、厚生労働省が2019年12月12日、その内容を正式に公表しました。
2021年3月31日時点で、主任ケアマネジャー以外が管理者を行う事業所のみは既存の経過措置を延長する対象とすることとし、その管理者が今後も管理者を続ける場合には2027年3月31日までの6年間に渡り、厳格化を猶予することとしています。
それに対し、2021年4月1日以降に新しく事業所の管理者となる方の場合は、主任ケアマネジャーの資格を必ず住特しておかなければならず、経過措置の延長は適用されません。
主任ケアマネジャーになりたくても都道府県によって要件が異なる?
主任ケアマネジャー研修を受けるためには、
・専任のケアマネジャーとして勤務した期間が通算5年以上あること
・ケアマネジメントリーダー養成研修を修了した方、または日本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネジャーであり、専任のケアマネジャーとして勤務した期間が通算3年以上あること
・主任ケアマネジャーに準ずる方として、地域包括支援センターに配置されていること
・ケアマネジャー業務に関して十分な知識と経験があり、都道府県に適当だと認めれた方
という条件のうち、いずれかに該当することが必要です。
これらの条件に加え、都道府県が独自の要件を設定することも可能とされており、研修の質を向上させようと別途、要件が追加される可能性もあります。
仮に市町村などからの推薦が必要であるという要件が定められてしまえば、受講するまでのハードルが上がり、受けたくても受けることができないという状況に陥ってしまうのです。
なぜ都道府県によって要件が異なる?
しかし、受講における要件が都道府県によって異なるのはおかしいのではないか?という意見や、研修の質を上げることにこだわりすぎて受講が制限されているのではないか?受けたくてもなかなか受けることができないという指摘も少なくありません。
そこで、厚生労働省は主任ケアマネジャーを養成する都道府県の研修実態を調査し、独自に設定された受講の要件、受講費を下げる上で活かすことができる地域医療介護総合確保基金の使途なども調査することとしています。
不公平なく運営基準の厳格化にも対応できる形へ
基金の活用方法を調査する理由は、活用の仕方によって受講費の多寡に影響するからです。主任ケアマネジャー研修の受講費は都道府県によって4万円以上の格差があり、不公平という批判の声が出るのも無理はない状況となっています。
できるだけ多くの方が研修を受けることができるようにし、居宅介護支援の運営基準において、事業所の管理者は主任ケアマネジャーのみという厳格化にも対応できる形にしてもらうことが必要となるでしょう。