介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

福祉業界は常に人手不足?改善策を考えるまえに現状の把握を

2019.12.24
分類:その他
2025年度の介護人材の需要は約250万人に達すると言われているのに対し、供給は約215万人。これでは約35万人、人手が不足する状態となってしまいます。 福祉業界では現在でも人員の確保ができず、スタッフそれぞれの負担が重くなっている状況の介護現場も少なくないため、この状況から改善させるためにはまず現状を把握することが必要といえるでしょう。

福祉業界はなぜ人手不足に陥っているのか

福祉業界で働こうと考えている方がまず立ち止まってしまうのは、介護現場はきつく、汚く、危険という3Kのイメージが強いからでしょう。それに加え、暗い、臭いといった5Kと表現されてしまうこともあります。 さらに近年では、介護事業所が利用者に対して行う虐待などのニュースが取り上げられるなど、どうしてもネガティブな印象を受けてしまう方が増えてしまっているようです。 よいといえないイメージが先行してしまい、興味はあってもきっと負担が重くなるから…と福祉業界で働くことを思いとどまってしまう方も少なくありません。

積極的に求人募集を行っても人が集まらない

何とか不足する人手を確保しようと、ハローワークや求人誌、インターネットの求人サイトなどで積極的に求人募集を行っているものの、応募が集まらない状況に嘆く事業所も少なくないようです。 伝えられているイメージとは異なり、良好な職場環境で待遇も満足してもらえる状態で待ち望んでいるのに、応募者がいなければ採用することはできません。

大手企業参入が要因となることも

また介護ニーズは高まり続けていることに伴い、福祉業界に参入する大手企業などが増えたことで、規模の小さな事業所は資金力が乏しく人件費に予算を充てることが難しいという場合もあるようです。 しかも人手が不足していることにより、スタッフが抱える作業や仕事の量は増えてしまい、給料と業務内容が見合わないと離職者を増やすことになり、さらに人手が不足するという負のスパイラルに陥るケースも少なくありません。 実際、小規模事業者は正社員ではなく、契約社員やパートでの雇用契約が多いため、安定を求める方にとっては不満を抱えることとなり、退職してしまう要因となってしまうようです。

国も現状を打破するための制度や政策を検討

国も、離職した介護職員を対象とした再就職準備金の融資制度や、介護福祉士や社会福祉士養成学校に通う方にむけた修学資金貸付制度などで、一人でも多くの介護スタッフ確保に繋がるような制度を設けています。 また、介護事業者が職場環境を改善したり、介護スタッフのキャリアアップに向けた取り組みを行うことで、スタッフの給料を上げるための介護職員処遇改善加算という制度も導入されました。 国から支給されたお金はスタッフの賃金に上乗せすることが義務付けられていますので、加算して受け取ったお金は事業所のものにはならず、必ず給料として支給されることになります。 過酷な労働なのに給料が安いという理由で人手が集まらない状況かもしれませんが、国もこのままではいけないと様々な政策や制度の導入を行っています。今後、さらに制度が充実すれば、人手不足問題も解消されることに期待が持てるようになるでしょう。