福祉業界に対して支払われた新型コロナによる給付金は再支給される?
新型コロナウイルス感染拡大は日本だけでなく世界的に猛威を振るっている状況ですが、緊急事態宣言の発出に密を避けた生活様式などで、従来までとは違った日々の過ごし方が求められるようになりました。
福祉業界もその影響を受けており、介護現場でも従来までとは異なる対応が必要となりましたが、介護職員に対する最大20万円の給付はその慰労金としての意味を持つものです。
介護職員に対して最大20万円給付
2020年6月12日に閣議決定された国の第二次補正予算案により、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」は大幅に拡充されることとなりました。
新型コロナウイルス感染で重症化リスクが高い高齢者との接触が必要となる医療・介護・障がい福祉分野で働く職員に対し、慰労金の名目で給付金が支払われています。
その対象者は職種での制限はされておらず、介護や障がい福祉サービスを提供する事業所に勤務しており、利用者と接する職員であれば対象となります。
正社員や非正規雇用かなどの制限もありませんが、都道府県での新型コロナウイルス感染症患者1例目発生日もしくは受入日のどちらか早い方から2020年6月30日までの間で10日以上勤務していることが必要です。
この勤務日数には、有給や育休など勤務していない日は含まれません。
新型コロナウイルスの感染者が発生した事業所や、濃厚接触者に対応した事業所のスタッフであれば20万円を受け取ることができますが、感染者や濃厚接触者のいない事業所であってもその職員に対し一律5万円が支払われます。
慰労金は今後再支給される?
この給付金は2020年6月末までが対象期間だったため、第三次補正予算ではそれ以降の期間を対象としていました。
立憲民主党の枝野幸男代表が慰労金の再支給を主張していましたが、菅首相は「引き続き必要な支援を実施していく」と述べるにとどまる形となり、2021年1月28日に参院本会議で成立した第三次補正予算案の中に介護職員に対する慰労金の再支給は盛り込まれていなかったのです。
福祉業界に対する予算の使われ方は?
この第三次補正予算案でも、福祉分野の緊急包括支援交付金の積み増しを目的とした1千4百59億円が計上されています。しかしこの金額はすでに実施されている事業に対する財源不足を補うことを目的としており、現場で働くスタッフに対する慰労金の再支給のためではないとされています。
介護分野に対して計上された予算も、問題となっている人材不足を解決するための就職サポートや、介護ロボットを導入することへの支援、高齢者施設の防災対策についての経費などが主な対象です。
しかし現場を取り巻く危機的な状況は変わっておらず、前回の給付金が支払われたときよりも深刻さは増しているといえます。今後は給付金を再支給することなど、現場で働くスタッフに対する柔軟な対応が必要といえるでしょう。