介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

2021.03.24
分類:その他
2019~2020年の主要となる介護業界の企業21社の売上高から、その市場規模は9,505億円とされています。 福祉業界の中でも高齢化が進む介護分野は特に拡大傾向にあるといえますが、福祉のニーズは今後も高まり続けるといえるでしょう。 そして厚生労働省によると2019年度の介護保険総費用は10兆5,095億円となっており、前年度よりも3,559億円増え、介護サービスだけで10兆円を超えている状況です。

高齢者は今後も増加

高齢化により高齢者の人口は今後さらに増えていくと考えられますが、介護業界の市場規模もそれに伴い拡大を続けているといえます。 2020年12月時点の要介護認定(要支援認定含む)を受けた方の数は680万人となり、約20年間で3倍以上も増加しています。 その一方、中・軽度の要介護者や認知症の方が利用する介護予防サービスは、一部が市町村に移行されたことで利用者数と介護保険料のどちらも減っている状況です。 介護業界の大手企業の業績も伸びていますが、2025年には団塊の世代と呼ばれる第一次ベビーブーム世代のすべてが75歳以上となります。 これにより、後期高齢者人口は2,180万人に達することが推計されているため、今後はさらに介護業界の市場規模は拡大されることが見込まれます。

ニーズの拡大の裏で人手は不足

ニーズが高まる介護業界ですが、その一方、現場で働く介護職員は不足しています。 介護職員の人材が不足している背景には、重労働なのに賃金が低いといったことが挙げられます。 実際、介護業界の有効求人倍率は上昇傾向にあるものの、応募者が少なく人材確保につながっていません。 特に医療系の看護師や准看護師の給与水準と比較すると、介護士は重労働のわりに評価が低く賃金も安いといえるでしょう。 2025年、介護現場で働く介護職員は37万人不足するという推計もあるため、国も介護離職ゼロを目標に賃金を値上げできる仕組みを作り、在留資格「特定技能」を2019年4月から施行し外国人材を受け入れようと取り組みを進めています。 しかし高齢化とともに少子化も進んでいるため、労働人口は今後も減少し続けると予想され、介護業界に限られた人材がまわってくるとは言えない状況です。 それに加えて新型コロナウイルス拡大により、感染防止対策にコストがかかっていたり利用者が減少したりなど、経営にも支障をきたしている事業所も少なくありません。

今後も介護業界の市場規模は拡大

事業を続けることが難しくなった介護事業所もあれば、異業種から新規で介護業界へ参入しようとする動きも見られます。 この異業種からの新規参入で、買収や新規事業の立ち上げなど競争は激化しているといえます。 介護業界の需要拡大で、介護事業を取り巻く市場規模は引き続き伸びていくことが予想されます。 ただ、様々な分野から新規で参入することも見込まれており、大手が中小・零細事業者を買収しようとする可能性もあるため油断はできないといえます。