介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

福祉業界の人手不足は今後どのように解消されていく?

2021.06.28
分類:その他
福祉業界は人手不足が深刻化しているといわれていますが、この状況は今後も改善されることは困難とも考えられます。 単純な数の問題だけでなく、構造上の課題なども関係しているといえますが、今後はどのようにこの人手不足という問題に向き合い、解決していけばよいのでしょう。

一般の学生を採用したとしてもなお人手不足

福祉業界の中でも、たとえば介護分野についての採用は、主に社会福祉法人や医療法人を中心とした専門職養成校の学生を採用するのが一般的でした。 一般の学生を採用する意識は低かったといえますが、高齢化が進み2000年に介護保険制度が始まったことで、介護を必要とする人は増えているのに就業者は不足するといった需給バランスが取れていない状況です。 さらに介護事業者の半数以上は民間企業が運営しているため、養成校なども古くから付き合いのある社会福祉法人や医療法人への就職を、学生に勧めることが多くなっています。 そのため、養成校とつながりを持たない民間企業が専門教育を受けた人材を採用することは難しく、一般学生を幅広く募集して就業者を確保している状態といえるでしょう。 それでも介護業界全体でみれば、人手は不足しています。

現場の構造そのものを改革することが必要

介護に対する考え方も従来とは異なり、たとえば介護施設での1日も以前までは画一的なスケジュールが組まれ、利用者が一律で同じ時間に起床し食事を取るという形でした。 しかし今は技術が進化しICTなど設備が発達したこと、そもそも介護に対する考え方が変わったことから、従来までのやり方に合わせて造った施設や設備では対応できなくなっています。 利用者それぞれがどのように暮らし、生きていきたいかなどを理解した上で介護サービスを提供することが必要となった今、現場の構造を改革することが必要となっています。

それぞれの介護職員に合う働き方ができることが必要に

人手不足を深刻化させているのは、入職者がいないだけでなく離職率の高さも関係しています。介護職員の平均勤続年数は 4.7年程度で、実際には7割が3年以内で離職している状況です。 不満は賃金だけでなく、夜勤が必要であるなど不規則な勤務体制や休日が取りにくいといった問題も関係しているといえますが、今後は介護職員個人に合った働き方ができる事業者になることが求められます。 大学・専門学校といった高等教育機関にも、単に資格を取得させるだけでなく、中長期的な視野や最先端を学ばせること、さらに将来予測や社会実態に合った学習へと変えてもらうことが必要となるでしょう。